神奈川県警退職者の再就職先が記載された求人票(天下りリスト)を情報公開請求したところ法人名まで黒塗りにした県警の対応(訴訟中に裁判所の勧告により全面開示)をめぐる国賠訴訟の控訴審(東京高裁。控訴人筆者・被控訴人神奈川県)で、県側が和解勧告を受け入れる方針で検討を進めていることが判明した。
一審横浜地裁は、訴訟中に被告県に対して開示を打診、それを受けて県は争点部分の黒塗りをすべて撤回して全面開示した。黒塗りすべきでないことは当初から明白だったにもかかわらず黒塗りをしたのは、公務員の注意義務違反であるとして、国賠法に基づく賠償請求を維持したが、黒塗り情報の開示によって損害は回復されたとして敗訴、訴訟費用もすべて原告(筆者)の負担とするとの判決だった。
これでは行政のデタラメが今後も繰り返されるではないか、と考えて控訴したところ、高裁の裁判官は去る7月12日、結審した上で、「法的には難しいが、事情はわかる」として、県側に対し、訴訟費用の一部程度を和解金として支払う意思はないか和解を勧告した。
その回答が裁判所をつうじてきょうあった。和解案を受け入れる用意があるということらしい。ただし、10月の県議会議会で承認される必要があるため、それ以降になるという。
判決になれば負けるのは明らかだから筆者に「和解続行」を断る理由はない。和解協議は続行となり、10月に和解期日を設けることになった。これに伴い、9月26日に予定されていた判決は取り消される見通しとなった。
【神奈川県警「天下りリスト」黒塗りめぐる国賠訴訟の控訴審が結審、東京高裁が和解勧告】