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大内裕和・武蔵大教授の嘘を裏付ける証拠があらたに発覚

 奨学金問題対策全国会議代表・大内裕和武蔵大教授が科研費助成研究などとして発表した奨学金問題に関する著作や記事多数に、私(三宅)の記事からの盗用(本人は否定)が見つかっている問題で、「(三宅の記事は)読んでいない」とする大内氏の釈明が嘘であることを裏付ける証拠があらたに発覚した。

 問題の記述についてあらかじめ説明しておきたい。

 大内教授の盗用のひとつは、私が雑誌『選択』2012年4月号で発表した無署名記事からのものである。回収強化は貸付原資の確保のためだとする日本学生支援機構の説明の矛盾についてデータ分析をもとに検証した箇所だ。

 ほとんどそっくりなので、盗用・剽窃ではないか、と指摘したところ、大内氏は当初、「盗用・剽窃」ではないと思うが類似していることは認めて謝罪する――という和解案を提示した。ところが、大内氏に批判的な記事を削除することを同時に要求してきたため決裂、著作権侵害訴訟に移行する。訴訟になると大内氏は態度を一変させた。『選択』記事は読んだことがない(つまり記述が類似したのは偶然の一致だ)という主張を展開した。記述に使われた多数のデータは大内氏が独自に(三宅とは異なるルートで)得たというのだ。

 にわかに信じがたい言い分だが、このほど発見した、この言い分に関する決定的な矛盾とは、「1兆円」問題である。「銀行からの貸付残高はざっと1兆円」という記述が私の「選択」記事にある。この「1兆円」は、じつは3800億円の誤りだった。当時、財務諸表からひろった数字をもとに計算して記載したのだが、読み方を誤っていた。あらためて支援機構に確認して判明した。

 「銀行からの貸付残高はざっと1兆円」にはもうひとつ誤りがある。「銀行からの」ではなく「銀行の」が正しい。ここについても大内氏は同じ誤記をしている。短い一文のなかで、同じ誤記を2か所にわたってしている。はたして偶然に起きることだろうか。

 記事を書くということは、事実を確認する作業でもある。誤りはないに越したことはないが、完全に防ぐことは難しい。誤りに気づき、その都度訂正することでより正確になっていく。仮に大内氏が自分で調べて書いているのなら、私の記事の誤りに気づいたことだろう。大内氏は、指摘するどころか、自分で調べたのだと強弁する態度をとった。

 こういう人がほとんど世の批判を浴びずに学者でいられるというのは、日本の学問の凋落ぶりを象徴する光景でもある。

 ■証拠資料

 

 

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『絶望の自衛隊』が重版になりました

 読者のみなさま、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。ここしばらくの間、引っ越し作業の影響などでブログを更新をることができませんでした。少し落ち着いてきましたので、再開したいと思います。

 昨年12月に刊行した拙著『絶望の自衛隊 人間破壊の現場から』(花伝社)は、おかげさまで順調な売れ行きで、増刷となりました。ご支援いただいたみなさまに心よりお礼もうしあげます。

書評をご紹介します。

澤藤統一郎弁護士のブログより 

BOOKウオッチ編集部の書評

福岡県弁護士会ホームページの書評

 2023年1月22日付「しんぶん赤旗」にも書評が掲載されています(評者・半田滋氏)

 

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印影不開示問題 情報公開

選挙運動費用報告書の印影は「全部開示が妥当」
高知県情報公開審査会答申

 選挙運動費用収支報告書の写しを入手するために高知県選管に情報公開請求したところ、「犯罪を誘発するおそれがある」などとして出納責任者の印影を黒塗りにし、これを不服として筆者が審査請求を行っている問題で、諮問機関の高知県公文書開示審査会は2月7日、「印影は開示すべきである」とする答申を行った。同選管は非開示処分を近く取り消すと思われる。

 印影を開示すると財産の侵害などの犯罪を誘発するおそれがあるなどと県選管は主張していたが、じつは、収支報告書の提出を受ける際、銀行印などを使わないよう要請していたことが判明、犯罪につながるおそれは小さく、開示することによって得られる利益のほうが大きいと審査会は判断した。

 これで、全国の地方自治体で選挙運動費用収支報告書の印影を非開示にしているのは東京都選管ただひとつとなった。都選管に対しても非開示取り消しを求める審査請求を行っているところである。

※関連記事は「印影不開示問題」で検索してください。

■答申

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神奈川県警「天下りリスト」黒塗りの違法性問う国賠訴訟が結審

 神奈川県警退職者の天下り先が記載された「求人票」の開示を求めた情報公開請求で企業などの法人名まで黒塗りにしたのは違法だとして、神奈川県を相手取り10万円の損害賠償を求めた国賠訴訟が、16日、横浜地裁で結審した。判決は3月22日13時20分、同地裁502号法廷で言い渡される。

 訴訟は当初、黒塗り処分の取り消しを主要な争点として審理されていたが、途中で裁判官が被告県に対して「任意開示」を打診し、県がこれに応じて黒塗りを撤回したことで、「黒塗り」部分はあっさりと決着がついた。その後は、非開示処分の違法性や一部非開示処分の理由通知の不備が国賠法上違法で賠償責任があるかどうかという点が争点となった。

 審理の内容や従来の判例に照らして、賠償が認められる可能性は十分にあると筆者(原告)は予想している。

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武蔵大学調査委が筆者(三宅)のヒアリング実施へ
 大内教授の不正疑惑問題

 大内裕和武蔵大教授(奨学金問題対策全国会議代表、前中京大教授)が自身の文章として発表した記事や講演、著作多数に、本ブログ筆者(三宅)の著作物から盗用したと疑われる箇所が見つかった研究不正疑惑問題で、武蔵大学研究不正行為調査委員会は今月(1月)末に告発人である筆者の意見聴取を実施する。すでに可能な限りの資料提供と説明を行っており、それらを踏まえてさらに不明な点などの質問がなされる見通しだ。

 公権力による学問の自由への介入、干渉が露骨になってきているが、学者自身の嘘や不正を許すこともまた「学問の自由」の侵害にほかならない。

 厳正な調査結果が出されることをいましばらく待ちたい。

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神奈川県警「天下りリスト」黒塗りめぐる国賠訴訟が16日結審へ

 神奈川県警退職者の天下り先を知る手がかりである「求人票」(企業や法人から県に提出された文書)を県警に情報公開請求したところ企業名や法人名を黒塗りにした問題で、これが国家賠償法上違法だとして10万円の賠償を求めた裁判の口頭弁論が16日午後2時から横浜地裁502号法廷である。結審の予定である。

 県警は当初、法人名を開示すれば法人・企業の利益を損なうおそれがあるなどとして全面的に争っていた。しかし、東京や埼玉など他の自治体警察では開示している事実を突きつけると、裁判官から「開示を検討してはどうか」と”敗訴予告”がなされ、しぶしぶ自主的に開示をした。そこに至る過程では、一部非開示決定通知の内容に多数の誤りが見つかるという手続きのずさんさも露呈した。

 原告の筆者は、訴えのうち非開示処分の取り消しを求めた部分を取り下げた上で、国賠法に基づく慰謝料請求と訴訟費用の支払いを求める点は維持して裁判を続けた。”迷惑料”を回収する権利があると考えたためである。

 対する被告県は、▽開示非開示の判断は困難だった、▽文書量が大量でミスはやむを得なかったーーとして、国賠法上違法とまではいえない、仮に違法だとしても賠償するほどではないなどと反論している。

 結審にあたり、原告・筆者の最終準備書面を紹介する。

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令和3年(行ウ)第75号 情報公開非公開処分取消等請求事件

原告 三宅勝久

被告 神奈川県

準備書面5

2022年10月18日

横浜地方裁判所第1民事部御中

                 原告 三宅勝久  

            

第1 請求の趣旨第2項(国賠法にもとづく慰謝料請求)に関する主張

 1 事実経緯の概要

 原告が被告に対して損害賠償を請求するにあたり、前提となる事実は以下のとおりである。

① 2021年3月1日、原告は、神奈川県情報公開条例(以下「条例」という。甲1)に基づき、神奈川県警本部長(実施機関)に対して、県警職員の再就職にかかる求人票の開示を求める情報公開請求を行った。

② 2021年3月15日、実施機関(神奈川県警本部長)は条例10条4項に基づき決定期間を延長した。

③ 2021年4月30日、実施機関は、1140通の求人票(被告準備書面1)を対象文書として特定し、一部文書を除き、法人名などを非開示とする一部非公開処分を行い、原告に通知した(以下「本件第1処分」という)。(甲2)

④ 2021年10月29日、原告は、法人概要欄記載情報の非開示処分の取り消し、ならびに国家賠償法に基づく損害賠償を求めて訴訟を提起した(本訴訟)。

⑤ 2021年12月20日、本訴訟の第1回口頭弁論で、被告は請求棄却を求める答弁書を陳述した。原告は被告に対して開示対象文書全部の写しを提出するよう求めたが、被告は拒否した。

⑥ 原告は本件情報公開手続きを利用して開示対象文書全部の写しの交付を受け、訴訟準備を行った。

⑦ 2022年6月ごろ、原告が、実施機関から交付を受けた対象文書と決定通知を逐一つき合わせてみたところ、非開示理由の説明がない文書が複数あることが発覚した。原告の問い合わせに対して被告職員は調査する旨回答した。

⑧ 2022年7月1日付で、被告実施機関は本件第1処分にかかる決定通知の誤りを訂正した(甲17)。訂正か所は合計約60か所で、単純な誤記の類を除いても約50か所を数えた。うち、対象文書の特定自体がなかったものが少なくとも13件(文書の数)あった。原告が点検したところ、訂正後の決定通知にはなおも誤りがあった。(原告準備書面4)

⑨ 2022年7月12日、本訴訟の弁論準備手続きにおいて、裁判体から被告に対して、訴訟の争点である非開示部分を任意で開示する意向はないか打診がなされた。被告は検討する旨回答した。

⑩ 2022年8月30日付で実施機関は本件第1処分を一部取り消し、本訴訟の争点となっている非開示部分をすべて開示する一部非開示決定処分(以下「本件第2処分」という)を行い、原告に通知した(甲18)。当該通知書には、処分を一部取り消した理由について「当該非公開情報は、公表していない法人の電話番号等を除き、非公開情報に該当しないことから公開すべきである」と記載されていた。(甲19)

⑪ 2022年9月7日、本件第2処分により訴えの利益が消滅したため、弁論準備手続において原告は請求の趣旨第1項を取り下げた。

 2 違法性

(1)非開示処分の違法性

 被告実施機関が本件第1処分によって非開示とした情報は、求人票を作成した法人等の法人名や所在地、代表者名などである。これらの情報が条例の非開示情報にあたらないことは、被告も現在認めるところである。つまり、本件第1処分に瑕疵があることは明らかである。

 警視庁や埼玉県警など他の自治体警察はいずれも求人票に類する文書の法人名や代表者名、所在地を開示している(甲11、甲12)。これらが非開示情報に当たらないことを被告職員は容易に判断可能であった。しかしながら、被告職員は誤った非開示処分を行い、2022年8月30日まで約1年4か月の長期にわたって更正を行わなかった。ようやく誤りを更正したのは、本訴訟において裁判所から任意開示を打診された後であった。この間原告は、請求棄却を求める被告に反論するため多数の書面の作成を余儀なくされた。

 上に述べた事情を踏まえれば、被告職員は通常尽くすべき注意義務を尽くさず漫然と職務を行なったというべきであり、国家賠償法1条1項上違法である。板橋区選挙管理委員会の誤った非開示処分をめぐって国賠法上の違法を認定した裁判例からも明らかである。(甲19)

(2)理由の付記義務違反

 被告職員は、情報公開の事務を行うにあたり、請求人に対して、対象文書を特定した上で非開示理由を説明する条例上の義務を負っている。しかしながら、本件第1処分の決定通知書には誤りが多数あり、理由説明がきわめて不十分であった。対象文書名の説明自体がなされていないものが13件(文書通数)もあった。

 これらの誤りが訂正されたのは、本件第1処分から約1年2か月後の2022年7月1日であった(甲17)。これは原告の指摘を受けた後である。

 情報公開の手続きにおいて実施機関が決定通知の内容を正確に記載しなければならないのは自明のことである。それにもかかわらず、被告職員は多数の誤りのある決定通知書を原告に交付し、かつ、原告から指摘を受けるまで1年以上も放置した。原告が訴訟を提起する前はもちろんのこと、提起後も自主的に誤りを更正する機会が常にあったにもかかわらず、それを行わなかった。

 これらの事情を踏まえれば、被告職員は通常尽くすべき注意義務を尽くさず漫然と職務を行なったというべきであり、国家賠償法1条1項上違法である。このことは、日野市監査委員が行った情報公開一部非開示決定において理由の付記義務違反があったとして国賠法上の違法ならびに損害賠償を認定した裁判例からも明らかである。(甲20)

3損害

 被告職員らの上記違法行為により、原告は条例が保証する知る権利を著しく侵害された。同様に、非開示理由の説明を受ける権利を著しく侵害された。本訴訟を提起せざるを得なくなり、それによって精神的苦痛を受けた。原告の受けた損害は金銭に換算すると10万円を下らない。

第3 請求の趣旨第3項(訴訟費用は被告の負担とする)に関する主張

 原告は、2022年9月7日の弁論準備手続きにおいて請求の趣旨第1項を取り下げた。この理由は、同年8月30日付で被告が同項の請求対象となっている非開示処分をすべて取り消す処分変更(本件第2処分)を行ない、同項部分について訴えの利益が消滅したためである。当該非開示処分が条例の非開示情報にあたらないことは提訴前から明白であったのであり、第1項にかかる訴えの利益が本訴訟提起後に消滅し、取り下げに至ったことについて原告に責はない。原告が訴えを起こしたこと、及びこれに続く訴訟行為は、民事訴訟法62条の「原告の権利の伸張若しくは防御に必用であった行為」に該当する。よって被告に負担させるべきである。(甲21)

第3 結語

 以上のとおりであるから、請求の趣旨のとおりの判決を求める。

以上 

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寒中お見舞い申し上げます

 正月に「おめでとう」ということに私はどことなく戸惑いを感じて、もう何年もこの挨拶をしていません。決しておめでたい気持ちの人ばかりではないでしょうから、なにか無神経な気がするのです。

 家族や親しい人が亡くなったり、病気や怪我、経済的その他の困難に見舞われている方が大勢いることでしょう。戦争や災害、貧困、暴力、その他あらゆる不条理にさらされて苦しんでいる方も大勢いることでしょう。年末年始というのは差別や悲しみを普段よりいっそう浮き彫りにする時期でもあると思います。

 そこで、私は年賀状(筆無精でもともとあまり出さないのですが)のかわりに寒中お見舞いを出すことにしています。出しきれない方は、ブログやメール、たまに出す著書を、勝手にご挨拶がわりにしているつもりです。ご容赦ください。

 さて、昨年末に拙著『絶望の自衛隊 人間破壊の現場から』を上梓しました。ふつうの善良な市民が殺人鬼となり、またふつうのおだやかな暮らしに戻るという狂気を、日本という社会はついこのあいだ経験したはずですが、また同じことがくりかえされようとしているのではないか。取材を通じてそんな気がしてなりません。

 戦争前夜のいま、ひとりでも多くの方に読んでほしいと思います。本年もひきつづきよろしくお願いいたします。

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映画『窓』 戦争前夜に必見
   誤解から燃え上がった憎悪の炎をいかに鎮めるか  

 身に覚えのない「タバコの煙」がきっかけでマンションの隣人から「副流煙が原因で体調が著しく悪化した」などと苦情を受けるようになり、誤解が解けぬまま不信が募り、そこに医師や弁護士が関与して火に油を注ぎ、ついには何千万円の損害賠償請求訴訟という「全面戦争」に発展する――。

 横浜市で実際に起きた隣人トラブルを題材にした劇映画『窓』(監督・麻王、主演・西村まさ彦。池袋HUMAXで上映中)は、戦争前夜といってよいきなくさい社会情勢の今だからこそ一見の価値があるだろう。

 誇張した表現ではなく、淡々とした地味な展開だ。それがリアリティを感じさせる。小さな誤解や思い込みが、隣人に対する憎悪感情を生み、関係断絶や衝突につながるというのは、ことの大小を問わず身近にありがちな話である。大きな社会運動に発展した一例がヘイトスピーチだろう。いったいどんな理由で特定の民族の人たちをそれほど憎むようになったのか、ヘイト行動に加担したり共鳴する多くの者たちはおそらくは自覚していない。誰かを憎む行為、それ自体に酔っているのかもしれない。

 映画は民事訴訟をめぐるマンションの隣人同士の人間模様を描いているが、筆者はそこに「戦争」を重ねて考える。国同士の関係がこじれ、話し合いもできなくなってしまうと、最悪の場合、殺戮と破壊の応酬になる。それをどうやって避けるかが本来であれば分別ある大人のなすべきことなのだろう。

 だが憎悪の熱狂が大衆に広がり、高まってある次元にくるともう止まらなくなる。熱狂と同調がとてつもなく悲惨な状況をもたらすことを日本社会はつい数十年前に身をもって経験したはずだが、また同じ現象が起ころうとしている。そう考えるのは杞憂だろうか。

 ハリウッド的な派手さを求めるなら、際限なく憎悪をエスカレートをさせて見せ場をつくるのかもしれないが、麻王監督はそうした陳腐な手法は取らない。

 いったい、隣人の間で燃え上がった危険な憎悪はどうなっていくのか。ラストシーンは示唆に富んでいる。

 ■映画『窓』公式HP

 ■実際の事件は『禁煙ファシズム 横浜副流煙事件の記録』(黒藪哲哉著、鹿砦社)に詳しい。

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「支払能力不問の一括請求は無効」との判決が存在していた!
 函館地裁、情報公開で判明

 日本学生支援機構の法令不遵守ぶりを象徴する行為のひとつが「支払能力」不問の繰り上げ一括請求(期限の利益喪失、いわゆる貸し剥がし)だ。日本学生支援機構法施行令5条5項、または日本育英会法施行令6条3項は、分割払いを繰り上げて一括請求できる場合として、次のように定めている。

〈 学資貸与金の貸与を受けた者が、支払能力があるにもかかわらず割賦金の返還を著しく怠ったと認められるときは、前各項の規定にかかわらず、その者は、機構の請求に基づき、その指定する日までに返還未済額の全部を返還しなければならない。〉

 お金がなくて延滞した人に対しては貸し剥がしをしてはいけない。与信なし、金銭的余裕のない人に貸し付ける、学問の機会均等のため、という奨学金ローンの性質を考えれば当然の規定である。

 ところが、支援機構はこの「支払能力」条項を、長期間延滞し、連絡もない、返還猶予手続きもしない者は支払能力があると認めざるを得ない――といった強引に解釈し、支払能力の審査なしで容赦なく一括請求をやっている。この問題は、現在、雑誌『週刊金曜日』で「日の丸ヤミ金奨学金」と題して連載中である。ぜひお読みいただきたい。

 この問題について、きょう、あらたな事実が判明した。支払能力を調べずに一括請求をしたことの是非が問われた訴訟で、施行令違反にあたり無効だとの判決が函館地裁で出されていたのだ。

 日本学生支援機構に対する情報公開請求で明らかになった。事件番号や判決日は「個人情報」を理由にして黒塗りにされている。この判決は広く知られるべきだと考え、本ブログで公開する。

■支払能力不問による繰り上げ一括請求(期限の利益喪失)は無効だと判断した函館地裁判決(10頁参照)

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文章が苦手な私が本を書いている謎

 読者のみなさん、おはようございます。最新刊『絶望の自衛隊 人間破壊の現場から』(花伝社)を買っていただいた方、お手にとっていただいた方、図書館に注文いただいた方にはこの場を借りてお礼申し上げます。まだの方もぜひお読みいただきますようお願い申し上げます。

『絶望の自衛隊』は、私にとって13冊目(内容が重複するものを含めると14冊目)の単著になります(メニュー欄をご参照ください)。雑誌記事に比べて単行本づくりは印象ぶかいものがあります。やはりそれだけ時間と労力をかけているからでしょう。

 私がジャーナリストという職業にかかわりだしたのは20代前半のころで(現在57歳です)、共同通信社の助手として中米ニカラグア取材に同行した1989年が最初でした。以来、フリー、新聞記者、フリーと、足掛け30年以上この仕事に携わってきました。

 ときどき誤解されるのですが、私は文章を書くのが得意ではありません。学校時代の国語のテストの成績は惨憺たるものでした。習字も苦手です。高校は理系科目を選択し、大学は受験科目に国語のない外国語大学を受けました。

 ですから、文章を書くことを職業にするなど、30歳になるころまでは夢にも思っていませんでした。文章が苦手ですが、ジャーナリズムには興味があったので、報道写真をやろうとしていたのです。それでも、写真記事を新聞や雑誌に掲載するには文字の原稿が必要で、短い記事を四苦八苦して書いていました。駆け出しのころは、何ヶ月間も外国を旅をして、帰国後に何本か書くといったのんびりしたやり方でした。生計はアルバイトで支えていました。

 本格的に記事を書きだしたのは31歳のとき、岡山の新聞社に入ってからです。中途採用を募集していることを友人に教えてもらい、興味半分で受けたところ、採用されて新聞記者をやることになりました。会社にいた5年間、みっちり文章の訓練をさせられました。新聞社のあり方にはいろいろ疑問があるのですが、締め切りに追われながら大量に文章を書いた経験はとてもよかったと思います。

 本を書く面白さを教えてくれたのは花伝社社長の平田勝氏でした。2002年ごろ、5年務めた新聞社をやめて岡山から東京に居を移し、テレビの仕事の傍らサラ金・ヤミ金問題を追及する記事を『週刊金曜日』に書いていました。サラ金最大手の武富士に名誉毀損で訴えられたのもこのころです。サラ金ヤミ金問題で本を書いてみないかとの平田氏の提案を受けて、『サラ金・ヤミ金大爆発』という本を出版しました。200頁分の文章を書き上げるのは、はてのない長い旅のように感じました。それまで新聞や雑誌に発表したものを再編した部分はあったものの、やはり一冊にするというのは別のものを作る作業だと知りました。

 そして、1〜2年に1冊のペースで本を出すようになるのですが、だんだんわかってきたのは、文章が書けないときというのは、往々にしてモノを考えていない、思考が練れていない、あるいは材料が不足しているということです。ああ、俺はモノを考えていないんだな、と本を書くことで気がついたということです。

 文章はいまでも大の苦手です。しかし、その難行に挑むことは嫌いではありません。なにより、本を通じて読者のみなさまとつながるのは醍醐味です。

 来年は、研究不正をテーマにした本をなんとか出したいと考えています。

 引き続きご支援いただければ光栄です。