盗用が疑われる記述を繰り返すなど研究者としての資質が疑われている大内裕和・武蔵大学教授に、肩書詐称の疑いがあることが発覚した。
大内氏は2022年4月1日付で前職の中京大学教授から武蔵大学教授に転職した。採用に先だつ同年3月ごろから少なくとも翌2023年11月ごろまで、「武蔵大学”人文学部”教授」の肩書を使用していることが確認できる。
しかし、じっさいには大内氏は「教職過程」教員として採用され、所属部署は、教職過程教員が全員配属される「リベラルアーツアンドサイエンス教育センター(LASEC)」だ。※
※なお、本稿執筆時点で武蔵大学ホームページを確認したところ、大内氏の所属は「教職過程」となっている。
大内氏は、人文学部に所属させないのは労働契約違反だなどとして武蔵大学(根津武蔵学園)を相手取り、労働審判や地位確認訴訟を起こすなどして移籍を求めたが、結果的に現在もなお人文学部への移籍は実現していない。
人文学部に移籍させよと法的手段をとったということは、自身が人文学部教授ではないとわかっていることにほかならない。それでいて、「人文学部教授」であると嘘の説明をしていたわけだ。
大内氏が起こした裁判は、2024年1月、「学内規程にのっとって人文学部への移籍手続きはする」(趣旨)などの内容で和解がいったん成立した。そして学園(武蔵大学)は、人文学部への移籍の手続きに入ったものの、人文学部の科目で大内氏に教えられるものがない、などの理由で移籍を認めないとの結論になった。
驚いたことに大内氏はなおも納得しない。移籍を認めないのは和解条項違反だとして、今年6月、あらためて訴訟を提起、現在も係争中である。学園側が「人文学部移籍を約束したことはない。大内氏もそのことを了解した上で和解をしたはずだ。事実ではないことを述べて紛争を蒸し返している」(同)とまっこうから反論する事態になっている。
大内氏が求めているのは「人文学部」の肩書だけだ。なぜ人文学部にそれほどこだわるのかよくわからない。人文学部として採用されたと思い込んで周囲に「人文学部」だといいふらしてしまい、引っ込みがつかなくなったのか、それとも人文学部のほうが聞こえがよいため、最初から人文学部ではないことを知りながら採用に応じた上で、大学に圧力をかけて強引に移籍しようともくろんでいるのか。
いずれにせよ「人文学部教授」が嘘であることにちがいはない。大内氏は、誠実さという研究者にとってもっとも重要な資質を欠いている。
肩書詐称はアウト。武蔵大学は大内裕和氏を懲戒に何故しないのか。疑問