2013年に厚労省が行った生活保護費基準の引き下げ作業が、物価データの改ざんなど違法な方法で行われたとして、引き下げ処分の取り消しを求めた訴訟(全国各地で係争中)の名古屋高裁の控訴審判決が30日あり、長谷川恭弘裁判長は、原告敗訴の一審判決を破棄し、処分の取り消しと国賠法1条1項にもとづく慰謝料1万円(原告1人あたり)の支払いを命じる原告側逆転完全勝訴を言い渡した。
問題の引き下げがなされたのは、民主党から自民党へ政権交代する時期と重なる。自民党は、生活保護費の大幅削減を公約に掲げて選挙に臨んだ。またテレビ・新聞を通じて、しきりに「生活保護バッシング」のキャペーンが繰り広げられた時期とも重なる。
厚労省が、無駄な抵抗をやめて上告を断念し、引き下げの違法を認めてただちに是正をはかるべきであることは言うまでもない。同時に、「生活保護バッシング」とはいったい何だったのか、真相究明をする必要がありそうだ。