杉並区情報公開条例にもとづいて区長日程表の開示をもとめたところ、手書きで書き込まれた部分は公文書ではない、とする独自の解釈によって文書の一部を黒塗りならぬ白塗りにして、条例の対象外とするという奇妙な情報公開制度の運用が、前田中良区長時代に行われていた。
これに気づいて筆者が異議申したてをはじめたのはいまから6年前、2018年のことだった。訴訟や審査請求を行い、数年がかりでようやく「白塗り」の風習は撤廃された。6年前に白塗りをほどこして「開示」された区長日程表が、このほど処分のやり直しをした上であらためて開示された。
6年前の区職員の説明では、白塗り部分は印刷部分が消えたところであるとのことだったが、じっさいには、余白部分に何行にもわたって手書きで書き込んだところもあった。そこを非開示にした事実を「白塗り」によって隠していたことになる。改ざんといってもよい。
行政は常に監視をしていないとすぐに暴走してしまう。杉並区公文書白塗り事件は、行政権力の暴走、あるいはその兆候の好例といえる。
白塗り部分が開示された区長日程表
白塗り当時の決定通知。手書き部分は条例の「情報」ではないとの説明がされている。
手書き部分が白塗りされて「開示」された区長日程表(2018年4月)。当時、区職員の説明では、赤で囲った箇所に手書きがされているとのことだったが、じっさいにはほかの箇所にも「白塗り」はあった(青字で示した部分)。