杉並区元副区長の河北病院「天下り」問題で区に質問を行っていたところ、10月18〜23日にかけて3度にわたり、人事課を通じて以下のとおり回答があった。転載する。
■2024年10月18日付回答
(Q1:吉田前副区長が河北病院の顧問に就いていることは区として報告を受けていましたか? 報告を受けていたらその記録等はありますか?)
A1:所管部署でそうした情報を間接的に把握しているといったことはあるようですが、人事課としては特に把握していませんでした。
(Q2:河北病院で、吉田前副区長は杉並区の利害関係に関わる業務に携わっていましたか?)
A2:Q1での回答と同様に、人事課ではどのような業務に携わっているかの詳細は把握しておりません。
(Q3:退職管理における再就職の届出はどのような職員が対象になりますか?)
A3:「杉並区職員の退職管理に関する条例」で定めており、元部課長級(離職後2年間) が対象になります。
(Q4:元副区長は退職管理の再就職の届出の対象になっていないが、対象にすべきではないですか?)
A4:地方公務員法の適用を受ける一般職職員が退職管理の対象となるため、特別職である元副区長は対象になりません。ただし、元副区長の再就職した時期が、杉並区の部課長級を離職した2年以内であれば、Q3での回答のとおり届出る必要があります。
■2023年10月23日付回答
(Q5:元副区長は退職管理の再就職の届出の対象になっていないことに対する区のコメントについて)
A5:退職管理は地方公務員法に定められた一般職を対象とする制度ですので、特別職である副区長が届出の対象となっていないことについては、法の趣旨に沿ったものであると考えております。
(Q6:所管部署が把握している件について、いただいた回答の中に「所管部署が把握している~」とありますが、どこの所管で、把握している内容はなんでしょうか?)
A6:政策経営部の事業調整担当課と聞いています。内容としては、先方の事務方から、元副区長であった吉田氏が技術的な顧問に就任された、といったお話を受けたものです。
■2023年10月25日付回答
(Q7:特別職(副区長、教育長等。いわゆる非正規職員を除く)は兼職が可能であり、かつ区長と異なり選挙など政治的なチェックもありません。公務員としての倫理を担保するために資産公開を義務付ける必要があるのではないかと思いますが、この点についての区のお考えをお聞かせください。)
A7:副区長、教育長等の特別職は、区長と異なり選挙で選ばれるわけではありませんが、その選任にあたっては議会の同意を得ることが必要とされていることから、間接的に住民によるチェック機能が働いていると考えています。また、特別職の資産公開については、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律第7条により地方公共団体の首長の資産公開が規定されており、これに則って適切に行っていると考えております。従いまして、これを他の特別職に拡大していく考えは、現時点ではございません。
(Q8:「政策経営部の事業調整担当課と聞いています。内容としては、先方の事務方から、元副区長であった吉田氏が技術的な顧問に就任された、といったお話を受けたものです」とのことですが、当該連絡の時期ならびに連絡方法(電話または面会など)、連絡の趣旨を教えてください。)
(Q9:吉田氏の顧問就任後、吉田氏と区職員の間で連絡をとったことはありますか。とっている場合は、その頻度、目的等を教えてください。)
(Q10:事業調整担当課が吉田氏の顧問就任を知った後、当該情報を区役所内のどの範囲で共有しましたか。区長に報告しましたか。しなかった場合はその理由を教えてください。)
A8~10:今年7月に医療法人の事務方との関連事業に関する打合せの際、区事業調整担当に「顧問に就任された」旨の報告があり、両副区長と関係部課長に共有しました。その後に吉田氏との連絡はございません。
なお、区長も同時期に医療法人から顧問就任についてお聞きしております。
(Q11:吉田氏の顧問報酬の額を把握していますか。把握していない場合、関係者に聴取するお考えはありますか。)
A11:報酬額は把握しておりません。一般職を対象とした退職管理に基づく再就職の届出においても報酬額は届出の対象となっておりませんし、また、区として当該報酬額を把握する必要もないことから、今後もそういった考えはございません。
――読者各位にお尋ねしたい。上に紹介した区の回答をみてどう思われただろうか。批判に対してひたすら言い訳を繰り返している。批判を教訓にしようという意識がみじんも感じられない。私はそう感じた。首長のリーダーシップがまるで感じられないお役人言葉、官僚答弁だ。あたりまえのことだが、区民の声を聞くという意味は、ただ聞いておけばいいということではない。