2022年(昨年)7月31日、筆者は奨学金問題対策全国会議と大内裕和代表を相手取り、160万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こした。日本学生支援機構の違法な貸し剥がし(「一括請求」)について強い問題意識を持っているということを理由に入会を拒否したのは思想差別、いじめ、人格攻撃であり、精神的苦痛を受けたという趣旨の訴えである。
全国会議に筆者が入ったのは設立当時の2013年3月、「一括請求」問題への取り組みが消極であることを批判し、退会したのが2015年12月。その後2019年7月になって、全国会議が出した報告書のなかに「一括請求」の問題点に言及があることを発見。問題意識が出てきたことを高く評価して、再び入会を申し出たところ、拒絶された。その理由がほかでもない、私が「一括請求」問題に熱心だからというものだった。
全国会議は過去、入会希望者の入会を拒否したことはない。私的な団体ではあるが、特定の趣味人の集まりとは性格がちがう。活動の目的には高い公益性がある。その団体が、私に対してのみ入会を拒否した。その理由は「一括請求」。理由になっていないじゃないか、差別、いじめ、人格攻撃じゃないか、というのが私の正直な気持ちだった。それを裁判に訴えたのだ。
裁判がはじまると大きな壁にぶつかった。憲法21条が保障する結社の自由との関係である。全国会議は私的な任意団体である。権利なき社団という言い方をすることもある。そして、私人(しじん)間の問題に国家は立ち入らないという大原則がある。
全国会議は私的団体である。結社の自由がある。誰を入会させるかは全国会議の自由である。――被告全国会議はそう反論してきた。これにどう対抗すればよいのか。調べているうちにたどり着いたのが、本稿のテーマである国籍を理由としたゴルフ会員入会拒否事件だった。
(つづく)