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四日市で考えたこと(3)

 奨学金問題対策全国会議に筆者は設立と同時の2013年3月に入会し、2015年12月に自主的に退会した。繰り上げ一括請求(いわゆる期限の利益喪失)を違法な形で行っているという問題に筆者は気づいた。簡単に言えば、日本学生支援機構法施行令5条5項が「支払能力があるにもかかわらず」著しく延滞した場合――を一括請求できる要件として定めているのにもかかわらず、支払能力の審査を行わず、一定期間連絡がないことをもって「支払能力がある」と認定する(筆者への取材に支援機構が回答した内容)という無法というべき取り立てを行っている問題だ。

 この問題について、筆者は記事や著作を通じて再三にわたって警鐘を鳴らしてきた。会の内部でも正面から取り組むよう提言を繰り返した。ところが会の問題意識は終始低調だった。全国会議の事務局長や大内代表は、新聞などのマスメディアに一時期頻繁に奨学金ローン問題についてコメントを寄せていたが、この一括請求問題に言及した例は皆無である。

 そこで筆者は、全国会議のこうした姿勢を外から批判し、一括請求問題に目を向けさせる必要があると考えるにいたった。批判の結果、問題の重要性に気づけばまた復帰するつもりだった。

 全国会議が一括請求について問題意識を持っていることがわかったのは2019年夏のことだった。クレサラ対協内部の資料に全国会議が報告を行っており、そこに一項目を設けて記述があった。それを見た筆者は、基本的な問題を理解していると判断し、再び入会してともに活動したい旨を伝えた。なんら支障なく受け入れられるだろうと高をくくっていた。これが誤算だった。

(つづく)

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四日市で考えたこと(2)

「奨学金問題対策全国会議」が設立されたのは2013年3月だ。母体は通称「クレサラ対協」(正式名称は「全国クレサラ・生活再建問題対策協議会」)と呼ばれる多重債務問題に取り組む法律家や被害者らの団体である。筆者はヤミ金取材やサラ金問題の取材、特に武富士問題で2002年ごろから深い付き合いがあった。貸金業法の改正など大きな進展があった後、筆者は次なる「債鬼」の到来を予感して、奨学金ローン問題の取材に着手した。2010年に『債鬼は眠らず サラ金崩壊時代の収奪産業ビジネスレポート』(同時代社)大内裕和・武蔵大教授(前中京大教授)を上梓し、その中に日本学生支援機構のサラ金化に警鐘を鳴らす記事を収録した。

 筆者は「奨学金問題対策全国会議」設立と同時に同会に入ったが、上記のような取材活動を踏まえて設立メンバーから要請されたからである。また設立にあわせて共著を出すという計画を全国会議でたて、事務局を通じて筆者に執筆依頼がきた。

 全国会議の代表である大内裕和氏と面識を持ったのはこのときである。そして、後に発覚したことだが、このときに作成した共著の筆者執筆部分を大内氏が著作のなかで「盗用」し、

 

 同時に共著の大内氏執筆部分には、それ以前に筆者が雑誌に発表した無署名記事からの「盗用」があった。

 この全国会議を、ある理由から筆者は2015年に退会する。そして2019年7月に再び入会したいと申し出たところ拒絶された。全国会議に対する損害賠償請求訴訟をおこしているのは、この入会拒絶が思想差別であり、精神的苦痛を受けたという理由からである。

 なお、訴訟の中で全国会議は「入会を要請したことはない」「共著執筆は(出版社の)要望をとりついだだけだ」などと述べている。前述したとおりこれは事実ではない。

 この裁判をたたかう上で何か参考になる知見が得られるのではないかと考えたのが、四日市に調査にでかけた動機である。

(つづく)