カテゴリー
コロナ(COVID19) 換気(CO2) 東京メトロ 空気感染

車内換気の実態調査「予定なし」
感染の危険放置する東京メトロ

 さほど混雑していない状態でも列車内のCO2濃度が1000ppmを頻繁に超すことが筆者の調査で判明した東京地下鉄(東京メトロ)が、客が乗った状態での換気調査について、実施する「予定がない」ことを明らかにした。

 全ヘッダー表示▼
東京メトロ丸ノ内線の車内で計測したCO2濃度。空いている状態(立ち客がほとんどいない)でも1000ppmを超す。
三宅さま
(略) 以下のとおり回答させていただきます。 ご査収の程よろしくお願いいたします。
Q 私(三宅)が電車内(丸の内線)で測定したCO2濃度は、さほど混雑しておらず(1車両に立ち客が20人以下)、窓が2ヶ所以上開いた状況でも1000PPMを頻繁に超える結果となりました。換気は十分にされているとお考えでしょうか。また、じっさいの運行時にCO2濃度を測定する予定はありませんか。

A ・産業技術総合研究所と共同で実施した車内換気量の実車測定より、 約8分で車内の空気が入れ換わることを確認しており、換気は十分にされていると考えております。
・営業運行時におけるCO2濃度の測定は、鉄道車両におけるCO2濃度に対する公式な指針等が定められておらず、  測定結果の評価等が困難であるため、現時点では予定はございません。

 何もしない、調査すらしない。それが回答だ。「約8分」で車内の空気が入れかわるという実験は、乗客のいない空の車内で行ったもので、じっさいに何十人、何百人が乗った状態でどのような結果になるかはわからない。

https://miyakekatuhisa.com/archives/693

 だが、東京メトロはいまのところ、この「約8分」にしがみつき、空いた車両で、かつ窓を複数ヶ所開けたとしてもCO2濃度が1000ppmより下がらないという現実を見るつもりはなさそうだ。

 東京メトロは感染の危険が高い場所と判断せざるを得ない。極力乗車をさける、短時間にする(頻繁に降りる)、混雑を避ける――という自衛策をとるのが懸命だろう。

 COVID19(コロナウイルス)の主たる感染経路が空気感染であり、室内の換気がもっとも重要な予防策になることは、いまでは国際的な常識になっている。
https://twitter.com/jljcolorado/status/1383566908797059078

 換気状態を知るもっとも簡便な方法がCO2濃度の測定だ。新鮮な外気でおよそ400ppm。多人数と共有する空間では他者が吐いた息が混入し、換気が悪いとその率が高くなる。700ppm以下にするよう専門家らは提唱している。構造上換気能力が不十分な室内では、HEPAフィルター(高性能の濾過装置)のついた空気清浄機の使用を呼びかけている。

 あるいは、東京メトロはこうした知見を知らないのかもしれない。そう考えて、コロナウイルスの感染防止に室内換気がもっとも重要であり、そのためにCO2濃度の測定が必要である――と国内外の専門家が指摘している事実を認識しているのかどうか、質問を行った。

カテゴリー
コロナ(COVID19) 換気(CO2) 東京メトロ 空気感染

「CO2濃度を測定したのは昨年度のことでした」
劣悪な換気を放置する東京メトロの危機意識を問う

 比較的空いている時間帯でもCO2(二酸化炭素)濃度が1000ppmを超える(外気で約400ppm、コロナ感染防止には700ppm以下の換気が提唱されている)東京地下鉄(東京メトロ)に対して、CO2濃度の測定を行っているのか、換気対策が不十分ではないか、と質問したところ、1日付で広報課より以下の回答があった。

 先日お問い合わせいただきました車内換気につきまして 以下のとおり回答させていただきます。
* 電車内の換気状況や方法について

→空調の使用、一部窓開け(1車両につき2カ所程度)による車内換気を実施しています。
 * 二酸化炭素濃度を測ることはしているか?

→昨年度、国立研究開発法人産業技術総合研究所の提案を受け、共同でCO2濃度減衰法を用いた車内換気量の実車測定を実施いたしました。 当社車両においては、1車両につき2カ所の窓開け(10cm)、空調の使用、停車駅ごとのドア開扉により 約8分で車内の空気が入れ換わることが確認されております。 試験の詳細については産業技術総合研究所の公表内容を参照願います。
https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2020/nr20201203/nr20201203.html

 空いた状態でも1000ppmを軽く超す換気状態でも問題はないということなのだろう。恐るべき危機意識のなさだ。

 加えて疑問に思ったのが、窓開け2ヶ所(10センチ)によって「約8分」で車内の空気が入れ替わるとした産業技術総合研究所の実験結果である。同研究所のホームページに掲載されている実験内容をみると、乗客にみたてたマネキン人形を車内に配置し、CO2ガスを放出した後にその濃度の減少状況を測定したとある。マネキン人形は、当然のことながら息をしない。CO2を吐き出さない。じっさいの人間が多数乗車した状況とは異なる。

 マネキンではなく人間が多数乗って実験すれば、はたして「約8分」で空気が新鮮なものに入れ替わるだろうか。測定を通じて筆者が感じた印象では、そうはならない気がする。

 東京地下鉄広報課に、あらためて以下の質問をした。

 私(三宅)が電車内(丸の内線)で測定したCO2濃度は、さほど混雑しておらず(1 車両に立ち客が20人以下)、窓が2ヶ所以上開いた状況でも1000PPMを頻繁に超 える結果となりました。換気は十分にされているとお考えでしょうか。また、じっさい の運行時にCO2濃度を測定する予定はありませんか。

 回答があり次第ご報告したい。

カテゴリー
空気感染

「コロナウイルスの主な感染経路は空気感染」
の世界常識から目をそむける日本社会


 コロナウイルスの主たる感染経路は空中に浮遊するウイルスを吸い込むことによる空気感染である。手指からの感染はきわめてまれであり、限られた資源は空気感染防止につかうべきである――という内容の研究論文「SARSーCOVID2が空気感染であることを裏付ける10の科学的根拠」(筆頭著者・ホセ=ルイス=ヒメネス)が国際的に信用度の高い医学論文誌「ランセット」に掲載され、大きな反響を呼んだのは今年4月15日のことでした。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)00869-2/fulltext
 空気中にただようエアロゾル(ウイルスを含む粒子)は、従来考えられていたよりも大きなものが含まれることを実証し、特に不特定多数が滞在する室内での感染リスクが高いと警鐘を鳴らしています。室内の感染リスクは屋外の20倍も高いとのことです。

 この論文発表に続いて、世界保健機構(WHO)も空気感染対策の重要性について言及するようになりました。
https://www.who.int/news-room/q-a-detail/coronavirus-

 〈換気の悪い室内または混雑した室内に長時間滞在することによっても感染します。〉
 The virus can also spread in poorly ventilated and/or crowded indoor settings, where people tend to spend longer periods of time.

 コールセンターでの集団感染がたびたび報じられますが、部屋の中に多人数が長時間滞在して、かつ常にしゃべる、おそらく換気状態も悪いという、まさにWHOが警告する感染リスクの高い状況で起きたと言えるのではないでしょうか。残念ながら、ニュースをみる限り「マスク」「濃厚接触」「衝立」「手指消毒」以外の対策はされていない模様です。

 換気状態を計測する手軽な方法にCO2濃度計があります。外気で400PPM。室内の濃度が常に700PPM以下になる換気状態が好ましいとされています。不特定多数のいる部屋の場合です。筆者もさっそく購入しました。https://www.amazon.co.jp/CO2%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC%E6%90%AD%E8%BC%89%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%B3-EPEA-CO2-NDIR-04%E7%B5%84%E3%81%BF%E7%AB%8B%E3%81%A6%E6%B8%88%E3%81%BF-NDIR%E6%96%B9%E5%BC%8F-CO2%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%82%BF%E3%83%BC-%E4%BA%8C%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%82%AD%E7%B4%A0%E6%BF%83%E5%BA%A6%E8%A8%88/dp/B08RRXMP2P/ref=sr_1_1?dchild=1&keywords=Epea&qid=1623024038&sr=8-1
  

 外出時に計測して気づいたのは、地下鉄車内の換気状態がかなり悪いという事実です。丸の内線の中野坂上から霞が関の区間は、相当空いている状態であるにもかかわらず800PPM〜1000PPMもありました。窓は開いた状態です。空調設備、その運用状態に原因があると思われます。窓を開けたくらいでは換気状態は簡単に変わらないこともわかりました。窓の開いている場所や風の流れが重要なのかもしれません。

 PCR検査でも日本はもたつきましたが、空気感染対策やCO2測定器の分野でも世界の流れに遅れをとっているようにみえます。