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いじめ キシャクラブ(記者クラブ) 横浜市 行政腐敗

横浜市教委記者会見の「特定記者はずし」事件 
主犯は報道課と判明

 特定の児童にだけ給食の配膳量を少なくしたり、プリントをわたさないなどの虐待行為を教諭が行っていた事件をめぐる市教委の記者会見(2022年3月25日)から筆者などフリー記者が排除された問題で、排除の判断をしたのが市教委ではなく報道課であることが判明した。

 市教委は取材に対して、会見参加記者を市政記者会(横浜市役所職員と定期的に会食をする排他的業界団体)に限定する意図はなかった旨明言した。一方、場所の設定や記者への連絡業務を担う報道課(当時秘書課報道担当・山下和宏課長)は、市政記者会のみにファクスで連絡したと回答、同課の判断でフリーに知らせなかったことを明らかにした。

 フリー記者を排除した理由について報道課は、「従来どおり記者会に連絡した」と説明した。市教委や記者会から「フリー記者には連絡しないほうがいい」といった意見は特になかったとも述べた。

 3月25日は午後2時から3時すぎまで山中竹春市長の定例記者会見があり、筆者も出席した。市教委会見はその後4時半から開かれたが、筆者には事前連絡がなく、参加することができなかった。

 定例会見以外の記者レクチャーなどについても、連絡してほしい旨再三市長記者会見で質問が出ており、「フリー排除」が問題視されていることを市は十分把握している。その上で、市長部局とは独立しているはずの市教委の意向を無視してまでも意図的にフリーを排除した可能性がある。はからずも横浜市の差別体質を浮き彫りにする出来事といえる。

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キシャクラブ(記者クラブ) 横浜市 行政腐敗

「記者クラブ企業は利害関係者ではない。調査も不要」
 契約実態を突きつけても公然とウソをつく横浜市長の資質を問う

 山中竹春横浜市長の記者会見が10日午後、横浜市本庁舎9階であり、筆者はいくつか質問を行った。そのひとつは市が定めるコンプライアンス遵守制度に関するものだ。なぜこの質問をしたのか。会見内容を紹介する前に経緯を説明しておきたい。

 同市はコンプライアンス指針を設けており、職員が利害関係者と飲食することを原則禁止している。その上で一定の事情(費用が妥当な額、職員側が負担する、会食の目的が職務に関連がある)があれば、コンプライアンス委員が許可する。そういう仕組みである。

 この制度を筆者が知ったきっかけは記者クラブ(横浜市政記者会)問題である。市長記者会見に出席するには、横浜市と並んで、排他的な一部業者の任意団体にすぎない記者クラブの「許可」を得なければならない。不愉快なしきたりである。地方公共団体である横浜市がなぜ特定の報道業者に「記者」の選別をさせるのか。

 情報公開請求を使って調べると興味ぶかい事実が発覚した。記者会の記者と市職員が年数回程度中華料理店やイタリヤ料理店で会食をしていたことを裏付ける文書がみつかった。これが上に説明したコンプライアンス指針にもとづく手続き書類だった。記者クラブは利害関係者だから原則会食禁止だが、職務と関係する行為だとして例外的に認めた――そういう手順を踏んでいる。

「職務」の実態はしれたものである。要は頻繁に飲み食いをする馴れ合い関係にあったのだと筆者は理解した。

 市と記者の癒着は市民の利益損失に直結する。そこで、山中市長に会見でただしたところ、思わぬ「独自の見解」が飛び出した。山中竹春市長によれば、記者クラブはコンプライアンス指針の利害関係者ではないというのだ。利害関係者でなければコンプライアンス指針を適用する必要がなくなってしまう。筆者はとまどった。

 記者クラブ企業と市との間に契約や協定があるのではないか、利害関係者にあたるのではないか。――繰り返しただしたがお茶を濁された。

 やむなく情報公開制度をつかって契約や協定をすべて調査することにした。今年1月の開示請求に対して、半年近く過ぎた今月になってようやく文書の閲覧が可能となった。大量の契約関係書類が出てきた。いまのところ、ごく一部しかみることができていないが、案の定、広告や番組制作、イベントや啓発事業など続々と契約がみつかった。

 指針の利害関係者にあたらないという市長の説明はまちがいである。これらの契約書類を確認した筆者は確信した。なにが利害関係者にあたるのかという前提が変わればコンプライアンス制度が根底から崩れてしまう。市長の「利害関係者」発言は看過できない大きな問題だった。

 以上の経緯を踏まえて臨んだこの日の記者会見だった。以下はそのやりとりである。

  (2022年6月10日、横浜市本庁舎9階会見室)

(三宅)――コンプライアンスの関係、いわゆる記者会(横浜市政記者会)に所属しているみなさんと(職員が)会食をされたという経緯がありますが、市長は繰り返し「利害関係者にはあたらないんだ」、そうおっしゃった。コンプライアンス指針のね、記者会の方が。それはいまでもまちがいないですか。

山中竹春市長 コンプライアンス委員会のほうから以前説明があったとおりかと思います。

ーー市長ご自身も、利害関係者にあたらないと思うんだと、そういうご回答を3月8日の会見でも、私が確認したところおっしゃっているんですね。で、ちょっと調べさせていただきました。そうすると、結構いろいろ契約があるんですよね。

 たとえば、平成29年4月4日、横浜市と日経新聞との「環境未来横浜と普及啓発活動に関する協定分」500万円とかね。細かくみればもっとあると思うんですがね。もうひとつ、大きいのはですね、神奈川新聞、代表企業神奈川新聞と、平成31年4月から、令和2年4月、令和3年4月、それぞれ4500万円、6000万円、7600万円の契約がある。

 市全体でどのくらいの契約があるか、私もまだ把握できてませんけども、少なくとも利害関係者にあたるんじゃないかと。指針をみるとね。で、利害関係者とはなにかについてはかなり細かく定義していてですね、物品の(購入等の)契約その他・・・関係する人、事業者。その時点で契約の当事者でなくてもそこから3年間は利害関係者とみなすんだと。そういうかなり細かい正確な定義をしてるんですね。これをみると、やはり利害関係者にあたるんじゃないですかと私は思うんですが、この点確認をされるお考えは市長、ないですか?

山中市長 ありがとうございます。契約案件に関しては、ご疑問な点がありましたら個々に所管のところに確認していただければいいかと思います。

――質問に答えていただいてない。市長ご自身のご認識として、記者会所属の企業、報道関係企業は利害関係者にあたらないんだというご認識を繰り返しおっしゃっているんで。私の認識だと・・・じっさい契約があるし、結構おおきな金額のものがありますので、これはコンプライアンス指針に照らして利害関係者にあたると判断しなきゃいけないんじゃないかと私は思うんです。ですので、市長はこの点を確認をして、本当に「利害関係者でない」といういままでのご認識がただしいのかどうか確認をしてご説明をしていただけないでしょうか、そういう質問です。確認をされるご意思はないですか。

山中市長 利害の衝突があるかないかに関しては、各担当のほうでも何度も確認していると思うんですね。利害の衝突はないものと考えています。

――あのまじめに答えていただきたい。(中止を求める職員の声)あの確認だけいいですか。質問がかみあっていない。指針1に定めている利害関係者に記者クラブの関係企業があたるのかどうか、確認をするのかどうか、そこを明確に答えてください。

山中市長 なんどか答えていますが、契約案件に関しては複数ございますので、契約内容がことなります。ですので、個別案件に関して利害が衝突している可能性を懸念されているのであれば、個別の部署にご確認いただくのがいいのではないかと思います。

ーー市長自身は調べないということですか。

山中市長 いま答えたとおりです。

 まちがいは誰にでもある。まちがいに気づいた時点で修正すればよい。だが、山中市長はそれをしたくないらしい。開き直ってまちがいを正しいのだと強弁する。れっきとした契約相手の企業を、言を左右して「利害関係者ではない」とごまかしつづける。「ウソも100回言えば本当になる」というナチスドイツの言葉を彷彿とさせる。なぜそこまで「利害関係者」にこだわるのか。なにか事情があるのだろうか。奇妙である。

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煩雑をきわめる横浜市の情報公開事務に疑問
  開示請求1件に対して決定通知書126通

 横浜市を取材するなかで、かねて疑問に感じていることのひとつが情報公開事務の煩雑さだ。たとえば、昨年12月、「コンプライアンス指針に基づく利害関係者との会食の状況がわかる文書」という内容で開示請求を行った。予想していたのは、開示決定なり一部開示決定通知が1〜2通届き、そこに別紙として市が特定した文書の一覧表がついているという流れだ。

 国の機関や地方自治体、独立行政法人はだいたいこの要領でやっている。

 ところが横浜市のやり方は大きくちがうことを知った。46ある区や部局から五月雨式に通知が届く。それだけなら驚かないが、それぞれの部局が発行した通知書の数がべらぼうに多いのには辟易する。少ないところで数通、多いところで40〜50通を数えた。

 全部で何通あるのか、筆者はたちまちわからなくなってしまった。何百通もの通知書の山。しかも同じ文書番号の通知書が多数ある。整理のしようがない。数える気力も失せる。

 困った筆者は、横浜市で情報公開事務を担当している市民情報課に依頼した。

「発行した決定通知を一覧にして教えてほしい」

 筆者とすれば事務的な連絡のつもりだった。だが小林且典課長の回答に驚いた。

「開示等の決定についても当課で一覧を作成し、請求者に対し提供を行うといったことも致しませんのでご承知おきください」

 小林課長から4月25日付で送られたメールにはそうあった。結果として、筆者はいまだに、いったい何通の決定通知が出ているのかすら確認することができていないでいる。

 筆者の常識では、あり得ない情報公開制度である。

 そしてきょう、分厚い書類郵便が横浜市から届いた。情報公開で開示された文書かとおもって開けると、意外にも決定通知書の束だった。道路局に対する開示請求を1件行っていた。その決定通知だった。請求は1件なのに、市が作成した開示・一部開示決定通知書の数はじつに126枚にのぼった。しかもすべて文書番号は同じだ。

 煩雑さにあらためてうんざりした。

 決定通知は1通、あるいは全部開示1通+一部開示1通=2通で、それらに対象文書の一覧を別紙でつければ、わかりやすく、紙の消費も少ない通知文になる。なぜそうしないのか、首をひねりたくなる。

 まさか、意図的に煩雑なやり方をしているのだろうか。

★1件の開示請求に対して横浜市長が発行した126通の開示決定・一部開示決定通知

  

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子どもを差別する横浜市はフリー記者も差別する
“記者会見からフリー記者を意図的に排除”と報道課明言

 横浜市立小学校で、担任教師(40歳代男性)が特定の児童に対して、

▽給食の量を極端に減らす、

▽配布物をわたさない、

▽行事で役割を与えない、

――といった行為を執拗に繰り返した”教師による児童虐待事件”をめぐり、市教委は今年3月25日、諮問機関による調査報告書と教職員らの懲戒処分を”発表”したが、その際、排他的任意団体「横浜市政記者会」の会員だけに事前連絡を行い、筆者のようなフリージャーナリストなど記者クラブ以外の記者を意図的に排除したことが明らかになった。

 横浜市報道課・三堀浩平係長が筆者の電話取材に対して答えた。 厳しい質問をする記者を排除して都合のいい「報道」を誘導するという、非民主的で差別的な政策を横浜市がとっていることが浮き彫りになった。

 問題の市教委記者会見は3月25日午後4時半から本庁舎9階の記者会見室で行われた模様だ。この日、おりしも筆者は、午後2時からの市長記者会見を取材するために横浜市庁舎を訪れていた。市長会見終了後(午後3時すぎ※※)も、情報公開の手続きなどがあったため庁舎内に滞在していた。

 そして閉庁時間を少し過ぎて帰宅の途についた。報道課から連絡はなく、市教委の記者会見のことはつゆも知らなかった。

 驚いたのは帰宅後ニュースを見てからだ。さきほどまでいた市役所で市教委が記者会見を開いたことを記者クラブメディアのニュースで知らされた。

 会見内容は重要だった。市教委の諮問機関である学校保健審議会が事件の調査を行い、その答申書(報告書)がまとまったという内容だった。加害教諭を懲戒免職したことなども同時に発表した。

 記者会見をすることが事前にわかっていればまちがいなく取材をして記事にした。

 市長記者会見出席のために市役所内にいた非記者クラブ記者は筆者だけではない。ジャーナリストの寺澤有氏もいた※。同氏に対しても、筆者と同様に市教委の記者会見の連絡はされていない。したがって取材することができなかった。

 市教委の記者会見に関する連絡業務を担ったのは先述の報道課だ。筆者はきょう(4月25日)、同課に電話取材をした。対応したのは三堀係長だ。

――3月25日の市教委レクチャー(記者会見)の連絡をフリーになぜしなかったのか。

三堀 緊急の案件だったので。

――市教委からレク開催の意向が報道課に伝えられたのはいつか。

三堀 市長会見の後です。

――市長会見が終わったのが4時前。市教委会見は4時半。メール連絡はできたのではないか。

三堀 従前どおり記者会だけに知らせた。

――フリーにメールで連絡するのは、技術的にはできたんじゃないか。

三堀 はい。

ーーそれでは「緊急」は理由にならないんじゃないか。フリーに対しては意図的に連絡しなかった、従前どおり連絡しなかった、そういうことにならないか。

三堀 そういうことになります。

「緊急」が口実にすぎず、フリーを意図的に排除したことを三堀係長はあっさりと認めた。私は引き続きこう問うた。

――なぜフリーには意図的に連絡しなかったのか、理由を教えてほししい。

三堀 追って連絡します。

 本稿執筆現在(午後19時)回答はない。返事があり次第ご報告したい。

 なお、横浜市小学校”教師による児童虐待事件”は文春オンラインの記事が詳しい。

https://bunshun.jp/articles/-/46572

https://bunshun.jp/articles/-/46573

 また、事件に関連してフリー記者の行政取材を横浜市が妨害している問題についてはジャーナリストの寺澤有氏が報告している。

新横浜市長の記者会見でフリーランスは質問できるのか(11)】

※・※※一部事実に誤りがありました。お詫びして訂正します。

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キシャクラブ(記者クラブ) 横浜市

コンプライアンス指針を理解していなかった横浜市長が記者会見で見せた不貞腐

 横浜市幹部と「横浜市政記者会」(特定メディア業者でつくる任意団体)の構成員らが頻繁に宴会を開いていた問題で(下記の関連記事をご参照ください)、山中竹春市長の職員監督能力に強い疑問を抱かせる事実が発覚した。

 山中市長は現在、会食問題について、関係者からヒアリングをするなどの調査を行っているが、その前提となる横浜市利害関係者との接触に関する指針(コンプライアンス指針)の内容を大きく誤解していることが2月10日の記者会見で露呈したのだ。

――1月23日(注1月13日の誤り)の私の質問に対して、会食の件、公務ですかと聞いたときに、プライベートだと思うという趣旨のことを答えられたと思う。それは、今でもお考えは、まちがいないのか。「完全なプライベート」。

山中 はい。職務、公務ではないと思います。

ーーそうすると、私も当時不勉強だったが、コンプライアンス指針を読むと、利害関係者との会食は禁止ということになっているんじゃないでしょうか。で、例外として、この場合は認めると。そのなかに、職務上の、職務に関連する会食とかが認められるんだと。ただプライベートであれば認めちゃいけないんじゃないか。逆に言うと、今回コンプライアンスで認めているということは、職務上の行為、指針でいう職務上の行為にあたるから認める、また会費が妥当であるからということで認めたという趣旨ではないか。そうすると前回の説明は訂正する必要があるのではないか。

山中 まず、利害関係者かどうかというと、これは利害関係者ではございません。利害関係者ではないという判断になっております。また会食は公務ではなく、公務ではございませんので、公務にはあたらないと判断されております。ただし、職員としましては、職務の公正さに対する市民の信頼を損なわない範囲かどうかを常に照らし合わせてよりいっそう慎重な行動を徹底する必要があるとの判断から、コンプライアンス委員会のほうにはかったということだったと聞いております。

――いまの…指針を読むと意味がよくわからないのだが、利害関係者との会食は禁止されている。だから届出をして、例外規程にあたるから認めたと、そういう手続きじゃないんですか。佐藤さん(報道担当部長)ちゃんと答えてください。ご自身も参加されているんだから。

佐藤 指針でいきますと、利害関係者との会食は禁止されていると。ただし禁止行為の例外がある。例外のなかで、自己の飲食の費用を負担して職務に関連して出席するもの、今回は職務に関連して出席するものということで、会食をともにするということはこの例外規程として認められている、ということで我々は申請を出しまして、今回コンプライアンス委員会のなかで、認めてもらった上で参加したということです。

ーーはい。そうだと私は思うんだけども、市長は「完全なプライベート」だとおっしゃっているんで。利害関係者と会食をするのは禁止だけれども、私の理解を申しあげていますよ。利害関係者と会食をする予定があるが、指針上禁止されている、しかし例外規程にあたるので認めてほしいという申請をだして認められたと。それは職務上の行為に該当するから認められるんだと。そうするとこれはプライベートじゃないじゃないかとお尋ねしている。

山中 公務か否かという上では否のほうを先程申しあげてしまいましたが、解釈としては佐藤部長が申しあげたとおりかと。

山中竹春横浜市長。コンプライアンス指針をまったく理解していなかったことが記者会見で露呈したが、謙虚に謝罪・訂正する姿勢は皆無だった。2022年2月10日午後、横浜市本庁者9階の記者会見室。

 利害関係者との会食は原則禁止で、指針が定める「職務上の行為」であり、かつ費用を負担するのであればコンプライアンス推進員の承認によって可能である。これが制度の基本構造である。ところが山中市長は、職員はプライベートで参加したのだから問題はない、と独自の見解を繰り返した。指針を理解していない証拠である。

 市長になって間がないのだから、市政について知らないことがあるのは当然である。しかし、誤っていることを知った後の態度は、到底、コンプライアンスの調査責任を負った首長のものとは思えないものだった。

 ◇

ーーそうすると職務上の行為だったという前回のご回答は訂正されるということでいいですか。完全なプライベートという感じでおっしゃった。

山中 佐藤部長から申しあげたとおりです。

 

 不貞腐れたような表情で視線を下方にやりながら、山中市長は聞き取りにくい早口で答えた。佐藤部長とは佐藤広穀報道担当部長のことだ。記者会との会食に参加した経験があり、市長の指示で調査を受けている職員のひとりである。調査する側と調査対象職員という関係でありながら、緊張感というものをまったく感じさせない一幕だった。

横浜市政記者会との宴会に参加した経験をもつ佐藤広穀報道担当部長。「宴会では酒を飲んだのか」との筆者の質問には「意見交換です」と繰り返し、明言を避けた。2022年2月10日午後、横浜市本庁者9階の記者会見室。

 まだ聞きたいことがあったので質問を続けようとしたが、当の佐藤部長が強引に終わりを告げた。山中市長はマスクをつけると無言で足早に会見場を立ち去った。

(関連記事)

【横浜市と「市政記者クラブ」の密約発覚 “市が開催するあらゆる記者会見の参加可否はクラブが決定する”】
【横浜市の奇妙な説明  記者クラブとの宴会参加は「職務上の行為」だが「私的な参加」??】
【横浜市幹部と記者クラブ系記者との宴会があらたに5件発覚 5年間で17件に】
【毎日新聞と横浜市幹部の単独宴会文書 記者名非公開は違法だとして審査請求申し立て】
【横浜市政記者会と市幹部が頻繁に宴会 5年間に12回】

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キシャクラブ(記者クラブ) 倉敷市 情報公開 行政腐敗

倉敷市長への質問

 市長定例記者会見(2月8日予定)での質問はクラブ加盟社以外認めない(倉敷記者クラブ決定)という前近代的な「記者会見」の運営がされている倉敷市の伊東香織市長(総務省出身者)に宛てて、きょう2日、以下の質問を秘書課のメールを通じて送った。秘書課の要望を受けて2週間後の2月15日を回答の締め切りとした。

(質問)
 倉敷市情報公開条例第5条は、開示請求権を市関係者に限っています。一方、岡山県や県内の他の自治体の情報公開条例をみると、岡山市など9市が、「何人(なんぴと)」も請求できる旨の条例になっています。人口49万人を抱える岡山県第2の都市であること、中核市であること、などを踏まえれば、市政の透明化を進める上で倉敷市も「何人」でも請求できるという条例に改正したようがよいのではないでしょうか。市長のお考えを聞かせてください。

倉敷市情報公開条例
第5条 次に掲げるものは,実施機関に対して行政文書の開示(第5号に掲げるものにあっては,当該利害関係に係る行政文書の開示に限る。)を請求することができる。
(1) 市内に住所を有する者
(2) 市内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体
(3) 市内に存する事務所又は事業所に勤務する者
(4) 市内に存する学校に在学する者
(5) 前各号に掲げるもののほか,実施機関が行う事務事業に利害関係を有するもの

何人も請求できる条例になっている岡山県の自治体
○岡山県
○岡山市
○玉野市
○笠岡市
○総社市
○新見市
○備前市
○赤磐市
○真庭市
○和気町

三宅勝久(ジャーナリスト)





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キシャクラブ(記者クラブ) 未分類 横浜市

横浜市と「市政記者クラブ」の密約発覚 “市が開催するあらゆる記者会見の参加可否はクラブが決定する”

(注・タイトルをわかりやすく変更しました)

 横浜市が開催するあらゆる記者会見は「記者クラブ」が仕切ることとする――。

 新聞テレビでつくる排他的任意団体「横浜市政記者会」(いわゆる記者クラブ)と横浜市との間でそんな「密約」が結ばれていたことが、情報公開請求で開示された横浜市の公文書によって発覚した。

 「横浜市政策局報道担当」から「横浜市政記者会」に宛てて2021年8月25日付で作成された「市長定例会見・記者レクチャーの開催方法に関する確認事項」と題する文書には、次のとおり記載されている。

 横浜市長定例会見及びその他所管局が行う記者レクチャーの開催について、以下のとおり確認します。

 【横浜市政記者会、ラジオ・テレビ記者会の加盟社以外の参加希望があった場合】

・出席及び質問の可否

 横浜市及び横浜市政記者会が事前に了承した希望者について、出席及び質問を認める。

(略)

 横浜市は、筆者のようなフリー記者が市長定例記者会見を取材しようとすると、市政記者クラブの許可を得ることを要求する。地方公共団体の首長が説明責任を果たすための重要な場のひとつである記者会見に参加するのに、特定業者が「選別」するというのは納得がいかない。理由を尋ねると市はこう説明してきた。

 「定例記者会見は記者会との共催だから」

 つまり、定例記者会見は例外的に記者クラブとの共催なので、クラブを優先的に扱っているということらしい。これもにわかに納得しがたいが、少なくとも定例会見以外の記者会見については、取材の諾否を決めるのに記者クラブが介入する余地はないはずだと筆者は理解していた。

 ところが、文書をみて筆者は驚いた。なんのことはない、記者クラブが記者会見を仕切るのは市長定例会見に限った話ではなかった。あらゆる記者会見や記者レクチャー(説明)について、だれが参加するかを記者クラブに選別させる旨、市が「確認」していたのだ。

 無論、こうした事情は筆者らフリー記者にはいっさい知らされていない。

 頻繁に中華料理やイタリア料理をともにするお気に入りの「記者」に特段の便宜をはかり、コントロールがきかずなにかと都合の悪いフリーや雑誌記者を排除する。そして、都合が悪いニュースが流れないように情報操作する。そんな下心がすけてみえる。

 (追記)

 山中竹春氏が横浜市長に就任したのは2021年8月30日、市報道担当が記者会との確認書を作成したのはその5日前にあたる8月25日。前市長のもとで作成された文書ということになるが、はたして山中氏は「確認書」の存在を知っていたのだろうか。気になるところである。(就任日を訂正しました)

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キシャクラブ(記者クラブ) 横浜市 行政腐敗

横浜市の奇妙な説明
記者クラブとの宴会参加は「職務上の行為」だが「私的な参加」??

 昨日1月13日、山中竹春横浜市長記者会見を取材した。横浜市政記者クラブという新聞テレビ通信社でつくる任意団体と市幹部が年に数回、宴会をしている事実が昨年末、情報公開請求をつうじて発覚した。それに関連する質問を行ったが、おおいに疑問ののこる回答ぶりであった。以下、やりとりを速報する。

 


(筆者=三宅勝久)ーー昨年末、ジャーナリストの寺澤有さんが会食問題について質問し、市長は調査を約束した。調査結果を。

山中竹春市長 調査については指示だしている。事前の申請内容とじっさいに相違点がないか。所管部署政策局に当時の状況を確認を指示している。現在、出席した職員への確認を行っているという状況である。市政記者会との意見交換会は横浜市で定めている指針にもとづく手続きを踏まえた上で参加をしているので、基本的には問題がないかと考えている。

ーー結果はいつごろ報告が可能になるのか

山中竹春横浜市長(2022年1月13日、横浜市庁舎9階の記者会見室)

市長 できるだけ早い時期に、出席した各職員への退職された方もいる、確認を進めるようにする

ーー利害関係者との接触に関する指針をみると、「利害関係者」という言葉が出てくる。利害関係者についてこうしなさいと、コンプライアンスについて定めているんですが。市政記者クラブの皆さんというのは指針でいう利害関係者にあたると、そういう理解でよろしいか。

市長 利害関係者というのはどのあたりが利害関係者か・・というご認識をお持ちか

ーーすみません。この指針にもとづく手続きをされているので、指針のなかで第1項「利害関係者」とあって縷々定義をしている。この利害関係者にあたるので申請承認の手続きをしているのか、それともそうじゃないのか。確認したい。

市長 そこも含めて当時の状況を調査したうえであらためて、利害関係、コンフリクトオブインタレスト・・・インタレストにあたる部分がなのかどうかを含めて調査している。

ーー会食は(市職員としての)公務にあたるのか、それとも私的な行為なのか。

市長 こちらに関してはプライベートではないかと考えていますが…はい。

ーーそうすると、この、たとえば平成28年6月3日付政策局総務課長の通知をみると、同日午後7時から10時まで、市政記者会側が12名参加で、市側が10名参加で承認、一人会費3100円と、こういう文書があるんですが、この下のところ、コンプライアンス推進員処理内容、「職務上の行為」のところに塗りつぶしがある。矛盾があるんじゃないか。

市長 職務上の行為・・・

ーー確認してください。印刷が汚いですが(渡す)

(・・・佐藤報道担当部長と相談)

市長 この黒ぽつが塗られているのは、指針の第3項に「職務として出席するもの」それから「職務に関連して出席するもの」というふうにある。公務ではないんだけれども、仕事上で知り合った方と・・っていう、職務に関連してというものも含んでますので、そういう意味で黒塗りになっているのではないかと承知している。

――無理があると思うが。指針の3項2号に該当するということで申請がされている。確認していただきたい

市長 確認しています。

ーー2号は「自己の飲食に相当する費用を負担して、職務として出席する行事、式典、会議打ち合わせ等」とあるわけですよ。

佐藤部長 括弧書きが次にある

「職務に関連して会食に出席」は職務ではない、コンプライアンス指針にもとづく申請・承認の書類に「職務上の行為」と記載されているのは、職務に関係するが「私的な活動」である――などと独自の解釈を述べる佐藤広毅報道担当部長(左端)。自らも記者クラブとの宴会に参加している。(2022年1月13日、横浜市本庁舎9階の記者会見室)

ーーああ「(職務に関連して出席する)」という。この「職務に関連して」というのは職務ということじゃないんですか。

市長 それは「職務として出席」というかっこの前に該当すると思います。主として、それ以外の、さきほど申し上げた「職務に関連して」という部分がカッコの・・・

――ということは、整理すると、この記者クラブとの会食は、市職員からすれば私的な行為であると。ただし職務に関連する私的な行為であると、そういうことですか

市長 はい。そういうふうに。

ーーコンプライアンス推進員もそのことを認識していたということか。私的会合だと。

佐藤部長 はい。局のコンプライアンス委員会においてもそういう認識はあったと、私は出ておりませんが、そういう承認があったと

ーー私的な会合だったということですね。

佐藤 はい

ーー関連してもうひとつ。市と記者クラブの加盟社、会社ですね。契約関係がある会社どこかありますか。

市長 どういった。

――たとえば、包括なんとか契約とか、物品の調達とかもろもろの契約。あるいは協定ですね。

市長 とくにそういった包括契約とかいうものに関してはないかと考えておりますが。

ーー手元(資料)で確認していないんですが、読売新聞と何かあるんじゃないですか。包括なんとか・・・ホームページにあったように思うんですが。

佐藤部長 報道担当部長佐藤ですが。包括連携協定であるとか、契約関係の部分について、いま資料がございませんので、各局いろいろありますので。きょう現在なにかの契約があるかどうかは、調べてみないとわかりません。

注・横浜市と企業・法人との包括連携協定一覧(横浜市ホームページ)

(読売新聞東京本社販売局との協定も紹介されている)

==
ーー大事なことなので、さきほどの関連ですが、職務上の行為ということではまちがいない?

市長 職務に関連した行為であると承知をしている

ーー言葉の定義として、通知書には「職務上の行為」にチェックがついているので、職務上の行為として参加したと。「職務上の行為」がどういう定義かはさておき、「職務上の行為」として参加したと。定義はあると思いますが。横浜市の言葉の定義として「職務上の行為」として参加した、承認した。そこはまちがないか。

市長 そこの黒ぽち、チェックいれているところについて、こんごどういったケースにそういった黒ポチをつけるのか。単純に広く職務に関連したもの。すなわち公務であると。それ以外の職務で知り合った方と利害関係はないけれども飲食する。そういった場合に、職務で知り合ったんだから職務に関連したもの、そいういったことでチェックを入れる可能性もある、チェックの入れ方は今後整理していきたい。

ーー職務関連性ということになると、たとえば会食にいく、職務に関連のある会食にいく途中でですね、交通事故に遭いました、それが公務災害が認められるかどうか、そういったいろんな論点があると思います。なのでできれば法令に詳しい部署と検討して正確な回答をいただきたい。

市長記者会見に臨む横浜市幹部。左から雨宮勝・政策調整担当理事、堀口和美・秘書課長。

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鹿児島県政キシャクラブ「青潮会」の構成員名簿は「全部開示が妥当」
情報公開諮問機関が答申

 鹿児島県庁のなかの一室を占領的に使っているほか、知事記者会見などの取材を根拠なきまま独占しているだけでなく、知事会見の取材に訪れたフリー記者らを腕力で会場から排除するといった世界的にも珍しい反ジャーナリズム的行動で知られるメディア業界団体「青潮会」をめぐってあたらしい動きがあった。

 青潮会に関して鹿児島県が保有している文書は「名簿」のみであることが筆者の県に対する情報公開請求でわかっている。この名簿の記載について、県が記者名の一部を「個人情報」だとして非開示処分にしたため、非開示処分取り消しを求めて審査請求を申し立てていた。

 この審査請求受けた諮問機関の答申結果が先日だされた。記者クラブ記者には一定の説明責任があるので記者の氏名はすべて開示すべきだとの結論である。知事記者会見にだれが入れるかどうかを選別する作業にかかわっているという特殊性を考えれば当たり前の結論である。

■記者クラブ名簿一部非開示取り消し請求に関する鹿児島県情報公開審査会答申(PDF、約10Mバイト)

 

 

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キシャクラブ(記者クラブ) 横浜市 行政腐敗

横浜市幹部と記者クラブ系記者との宴会があらたに5件発覚
5年間で17件に

 横浜市幹部が特定の記者団体との間で「意見交換」と称する宴会を頻繁に開いている問題で、「横浜市政記者会」との12件(2016年度から20年度)のほかに、「横浜ラジオ・テレビ記者会」や日経新聞横浜支局との間でも計5件の宴会が催されていたことが、情報公開請求によって開示された文書から判明した。

 横浜市が開示したコンプライアンス指針にもとづく部局からの報告書によれば、2016年度から20年度まで、毎年「横浜ラジオ・テレビ記者会」と幹部との間で飲食を伴う意見交換会が開催されている。幹部が7人から9人参加した模様だ。

 「横浜ラジオ・テレビ記者会」の実態はわからないが、排他的任意団体である記者クラブの一種だと思われる。

 2019年度には日経新聞横浜支局と幹部2人の間で宴会が開かれていることも判明した。

 参加した幹部の氏名や宴会場の店舗名、予定された費用額などの詳細は不明。現在調査中である。