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大内裕和氏の「研究不正」問題で武蔵大が本調査決定

 大内裕和武蔵大学人文学部教授(前中京大教授)の盗用問題で、武蔵大学予備調査委員会は本調査を行うことを決定した。高橋徳行学長名で、10月21日、筆者に連絡があった。今後、学内規程に基づき、研究不正行為調査委員会を設立した上で本調査を実施するという。

 大内氏は「奨学金ローン」に関する著作多数(一部は科研費の助成を受けている)において、筆者(三宅)の記事や著書の一部ときわめて類似した文章を記載しており、「研究不正」が疑われている。筆者は当初中京大学に告発を行ったが、同大は予備調査の結果「本調査不要」として本調査を実施しなかった。

 今年4月に大内教授が武蔵大学に転職したため、武蔵大に対して再度告発を行っていた。

 武蔵大学の調査の行方を見守りたい。 

 大内氏は2013年に設立された奨学金問題対策全国会議の代表を、設立以後継続して務めている。

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日本学生支援機構の法令軽視体質に驚く

 独立行政法人日本学生支援機構の法令軽視体質を露わにする出来事を目の当たりにしたのでご報告したい。

 先日、ある都内の裁判所で、支援機構の債権回収訴訟を傍聴する機会を得た。400万円(うち約20万円は延滞金)を一括で払えと元学生の男性を訴えている。この請求内容を一見して、筆者は疑問を覚えた。

 400万円のうち200万円(元本170万円+それに対する延滞金)はたしかに遅れている。問題は残りの200万円だ。まだ返還期限がきていないのに前だおしで請求している。繰り上げ一括請求とよばれる貸し剥がしである。その根拠について支援機構は、日本育英会業務方法書にもとづいたものだと説明している。

 業務方法書14条4項はこう規定する。

〈奨学生であつた者(奨学金の貸与を受け,その奨学金を返還する義務を有する者をいう。以下同じ。)が,割賦金の返還を怠つたと認められるときは,前3項の規定にかかわらず,その者に対して請求し,本会の指定する日までに返還未済額の全部を返還させることができる。〉

 一見すると、遅れた者に対しては期限の利益(債務を分割で払う権利)を喪失させて全額請求できるような記述だ。しかし、法令をよく調べると、そうはなっていない。日本育英会施行令6条3項は返還方法について次のように定めている。

〈学資金の貸与を受けた者が、支払能力があるにもかかわらず割賦金の返還を著しく怠つたと認められるときは、前二項の規定にかかわらず、その者は、育英会の請求に基づき、その指定する日までに返還未済額の全部を返還しなければならない。〉

「支払能力があるにもかかわらず」著しく延滞した場合にあってはじめて期限の利益を喪失させることができるのだと明記している。

 男性が延滞したのは収入が少なく経済的に余裕がなかったからだ。つまり「支払能力」を欠いている。

 支援機構の一括請求は施行令違反で無効だ――男性が訴訟でそう主張したところ、支援機構から驚くべき内容の反論がかえってきた。支援機構の準備書面(筆頭代理人・熊谷信太郎弁護士)から引用する。

 〈日本育英会施行令と日本育英会業務方法書は、いずれも日本育英会法に基づくものの、その法的根拠は別系統といえ、それぞれに優先劣後関係はなく、日本育英会法施行令6条3項と日本育英会法業務方法書第14条第4項並びにそれを受けた日本育英会奨学規程20条3項は、それぞれ異なる要件・効果を定めたものであって、原告は事案に応じ、上記条項のいずれかを選択し、一括返還請求の根拠とすることができる。〉

 要は、施行令6条3項と、業務方法書の14条4項は、それぞれ別ものである、どちらの規定を使うかは支援機構が自由に選べるのだと言っている。「支払能力」を一括請求の要件に定めた施行令は無視してもよいというわけだ。

 施行令6条3項の根拠は日本育英会法23条だ。返還については政令で定めよとある。業務方法書の根拠も日本育英会法で、25条1項に、業務を開始するにあたって業務方法書を作成せよと規定している。施行令は政令、業務方法書は省令。

 業務方法書作成を法で義務付けた理由はなんだろう。言うまでもない。法と政令で定めた範囲で業務を行わせることにある。

 念のため、筆者は文部科学省学生留学生課に問い合わせた。回答がきょうあった。次のとおりの説明であった。

(文科省 学生留学生課 2022・10・4回答)

――法と政令で定めた内容を省令である業務方法書で定めているということでいいか。

文科省 業務方法書は、法令で規定されている内容になっているか、法令違反になっていないか、文部科学大臣認可で内容が定まっている。法と施行令にのっとった内容であることを確認した上で大臣が認可している。

――上位に法と政令があり、下位に省令としての業務方法書がある。そういう理解でよいか。

文科省 そうです。

 おそるべき日本学生支援機構の法令軽視体質である。

 

 

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「”奨学金ローン”借り入れをためらうな。困ったら破産がある!?」
奨学金問題対策全国会議代表・大内裕和武蔵大教授が暴論

 独立行政法人日学生支援機構の公的学生ローン(商品名「奨学金ローン=Scholarship loan」)に関する大内裕和武蔵大教授(奨学金問題対策全国会議代表)の最近の発言を見る機会があり、驚いた。学資不足の際には借り入れをためらうな、返済に窮したら自己破産や民事再生などの手続きをとればよい、といった趣旨のことを言っている。

 問題の発言は、雑誌『家庭科研究』(家教連)2022年8月号に大内氏が発表した「奨学金問題の現状と家庭科教員への期待」と題する記事のなかにある。

 気になった部分を抜粋して引用する。

(引用ここから)
 奨学金問題の現状を踏まえ、家庭科教員に何が期待されているのかを論じたい。
(略)
 奨学金を利用するか否か、利用する場合の額をどれくらいにすれば良いかについて、生徒一人ひとりの経済状況や進学先、アルバイトの厳しい状況を踏まえた上でアドバイスできるようになることが望ましい。ここで考慮しなければならないのが、近年広がっている貸与型奨学金を過剰に忌避する傾向である。
(略)
「貸与型奨学金は借金になるのだから、借金を避けるのは当然だ」と簡単に考えてはならない。
(略)
 生徒の家庭の経済状況を見ながら、学費の支払いや仕送りなど、親・保護者からの経済的支援が困難なことが予想される場合には、貸与型奨学金の利用を勧めることをためらわないでほしい。
(略)
 私は大学で学生たちに奨学金について教えているが、奨学金の返済に困った際に民事再生や自己破産といった「法的整理」が可能であることを、私から教わる前に知っている学生にこれまで出会ったことがない。奨学金返済に困った際に、法的整理によって返済額を減額したり、場合によってはゼロとすることが可能であることを知ると、学生たちは安堵した表情となることが多い。たとえば、「自己破産をしたら人生終わり」などという無知に基づいた偏見をなくしていく指導が求められるだろう。
(略)
(引用おわり)

 
 奨学金ローンは、「教育の機会均等」を実現するという建前のもと、資金のない若者に多額を貸し付ける制度だ。与信(返済能力の審査)はいっさい行わない。貸付額も数百万円と多額だ。こういうことは通常の金融機関では認められていない。

 返済困難になることが想定される制度だから、払えなくなったからといって厳しく取り立ててはならない――はずだ。ところが現実はちがう。借りるときだけ「奨学金」という優しい顔を見せながら、返済は貸金業者と変わらない。私をはじめ、日本学生支援機構に対する批判の核心はそこにある。
  
 債務超過になって法的整理を余儀なくされる事態というのは好ましいものではない。極力避けるべきだ。当たり前のことである。学資に困ったら借りろ、返済に困っても「自己破産」や「民事再生」を使えばいい、と公言する大内氏は、結局は金を受け取る側(大学とそこから給料をもらう者たち)のことしか考えていないように見える。要は、身の程を超えた借金をしてでも学費を払えと言っている。無責任きわまりない。
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大内裕和・前中京大教授(現武蔵大教授)の研究不正予備調査はじまる

 大内裕和・前中京大教授(今年4月から武蔵大教授)の著作盗用事件で、武蔵大学(高橋徳行学長)は9月28日、研究不正調査に関する学内規程に基づき予備調査委員会を設置した。29日付で大学から筆者に連絡があった。今後、同月19日付で筆者が行った告発について調査可能性や告発の合理性などを予備調査で審査し、本調査を要するとの結論になれば、研究倫理委員会による本調査が実施される。

 中京大の予備調査委員会は「本調査不要」として門前払いしており、武蔵大予備調査委がどういう対応をするか注目される。

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日本学生支援機構の「違法?回収マニュアル」の黒塗り取消し求めて本日提訴

 独立行政法人日本学生支援機構が組織的に違法回収を行っている証拠とみられる文書がある。題して「法的処理実施計画」。情報公開請求したところ、ほぼすべてを黒塗りにして出してきた。

 

これを公開すれば、悪質な利用者が財産や居場所を隠すなどして機構に損害を与える恐れがある――というのが理由だ。

 公的な組織という立場がまるでわかっていない。ふざけた理由ではないかと筆者はかねて憤慨していたが、やはり黙っているのはよくないと、このほど黒塗りの取り消しを求める行政訴訟を東京地裁に提起した。資金不足で本人訴訟で行わざるを得ない。

 追ってご報告したい。読者各位の御支援を呼びかける次第である。

■黒塗りの法的処理実施計画