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杉並区のデタラメな情報公開制度運用をただす国賠訴訟2件が相次いで結審

 情報公開請求の対象文書の一部を黒塗りならぬ「白塗り」にして、非開示処分ではないという理屈のもと、取り消しの訴訟や審査請求などの不服申し立ての手続きを封じるという、にわかに信じがたい制度濫用が杉並区で横行している。この「白塗り」の違法性を問う国賠訴訟2件が、今月相次いで結審した。11月30日と12月3日にそれぞれ判決が言い渡される予定だ。審理を通じた印象から、よい判決がでるのではないかと期待している。

 1 東京地裁 令和3年(ワ)6051号 原告三宅勝久/被告杉並区。判決:11月30日13時、415号法廷

 2 東京地裁 令和3年(行ウ)179号 原告三宅勝久/被告杉並区。判決:12月3日13時25分、803号法廷

  1 の訴訟は次のような案件である。

 選挙運動費用収支報告書の写しを入手しようと杉並区情報公開条例にもとづいて開示請求したところ、全部開示したという通知を出しながら会計責任者の印影の一部を白く塗ったものしか交付しなかった。まちがっているのではないかと行政不服審査法にもとづいて審査請求したところ、3年8ヵ月もの長期にわたっていっさい手続きをせずに放置状態にした。

 訴えの内容は、

 ア・審査請求を3年8ヵ月も放置したのは違法である。

 イ・白塗りは非開示処分であるが、その理由を原告(三宅)に通知しなかったのは違法である。

 ウ・白塗り自体が違法な非開示処分、または条例に基づかない違法な文書加工である。

 ――というものである。これに対して杉並区は、

(ア)開示請求件数が多く、多忙だった、

(イ)印影の白塗りは処分ではない、

(ウ)偽造防止のための合理的処置である、

――よって違法性はない、などと反論している。

 

 2の訴訟は、記者懇談会の開催をめぐる決裁文書を条例にもとづいて開示請求したところ、通知文書で「全部開示した」としながら、職員の決裁印の一部を白く塗って被覆したものしか閲覧させなかったという案件である。

 これについて原告は、白塗りは非開示処分であり、それ自体が違法である。また、非開示理由を通知しなかったことも違法である、と訴えた。対する被告杉並区は、「白塗りは、根拠となる条例や規程はないものの、偽造防止のための合理的措置であり違法ではない。また白塗りは非開示処分ではない」と反論している。

 白塗りは「非開示処分」ではない、偽造防止のために白く塗っただけだと杉並区はいうのだが、そうしたことができる根拠について、説得力ある説明はされていない。 

 きょう(9月10日)の弁論(第2訴訟)では、筆者が「白塗りについての基準などを記した文書はあるのか」などと釈明を求めた点について、裁判長が「裁判所としても釈明してほしい」と被告に次回反論を求めたところ、被告代理人が「口頭で回答します」として「文書は存在しません」と即答、結審となった。第1訴訟でも、「これ以上反論しないのか?」といった発言を裁判官がする場面があった。戦況が苦しいにもかかわらず早々に結審したい様子がありありだった。敗訴やむなしと考えているのかもしれない。 

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作成者: MIYAKE.K

みやけかつひさ ジャーナリスト・スギナミジャーナル主宰者

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