広告に依存せずタブーのない真のジャーナリズムをめざそうと1993年に創刊された『週刊金曜日』という雑誌がある。この雑誌に私は一目おいてきた。新聞やテレビは、サラ金業界から巨額の広告費を受け取っている手前、サラ金批判をするうことができなかったが、『週刊金曜日』は果敢にこれをやった。筆者は2003年に「武富士残酷物語」などのサラ金最大手(当時)の武富士批判の連載を同誌でやり、武富士から1億1000万円の損害賠償を求める訴訟を起こされた(株式会社金曜日と連帯被告)。金曜日はそれでもひるまず連載を続け、完全勝訴する。
(詳しくは拙著『武富士追及 言論弾圧裁判1000日の闘い』リム出版新社)
私のなかでの『週刊金曜日』に対する信頼はこの一件を通じていっそう確かなものになった。
だが、残念ながら『週刊金曜日』が変わりつつあると感じるできごとが最近起きた。すでに本ブログで報告した「日の丸闇金”奨学金”」の記事掲載拒否事件である。今月13日、第5回め用の原稿を予定どおり出稿した。担当編集者から返事がないので奇妙に思って問い合わせるとい、掲載できないと口頭で伝えてきた。おどろいて不掲載の理由をたずねたが説明は要領を得ない。編集部としての説明を文書でくれるよう求めた。それでも現在(23日)まで回答はない。一方で、不掲載は早々に決定された。
問題の記事の内容とは、日本学生支援機構の違法回収(繰り上げ一括請求)が横行する背景に、「奨学金問題」の専門家である学者の不作為と堕落(研究不正に類する行為)がある―ーといったものだった。これが編集部には気に入らなかったのかもしれない。しかし、いかに気にいらないからといって、署名入りで連載中の記事を合理的な理由なく不掲載にするというのは横暴である。そんなことがまかりとおる雑誌は、もはやジャーナリズムを掲げる資格はない。
調査委員会の調査に値するような事件だと思うが、いまの日本社会にそれを求めるほどの力はなさそうだ。
日本社会の劣化とともに『週刊金曜日』も劣化している。
「劣化する日本社会、劣化する『週刊金曜日』」への2件の返信
コメントありがとうございます。記載できるようできるかぎりのことをしたいと思います。
週刊金曜日は以前読んでいましたが、最近は読んでいません。
三宅さんのブログを拝見して、誰に忖度しているのかなと思いました。
無視すれば、そのうち終わるなんて考えているのか?いずれにしても週刊金曜日の対応は理不尽ですね。