筆者(三宅)の著作の一部と酷似した文章や講演を、自己のものであるかのような体裁で多数発表(一部は科研費助成研究として報告)し、盗用剽窃が濃厚に疑われる大内裕和中京大教授をめぐり、またひとつあらたな「パクリ」疑惑が発覚した。
2017年12月11日、札幌市で開催された公益財団法人コープさっぽろ社会福祉基金主催の講演会「若者の格差と貧困~奨学金問題から考える~」の講演内容に、筆者の著作2点(『選択』2012年4月号記事 https://www.sentaku.co.jp/articles/view/11610
と、大内氏との共著『日本の奨学金はこれでいいのか』第2章「ルポ奨学金地獄」=三宅著=の91頁部分ときわめて似ている部分があるのを確認した。
https://www.youtube.com/watch?v=NOWdMiK-dH8
パクリが疑われるのは、公開されている上の動画の19分30秒から約1分間の部分だ。
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(大内教授)
原資にするんだったら元本から回収すべきです。延滞金と利子からとるというのは延滞金と利子で儲かるところに便宜をはかっている。どこがもうかっているか。債権回収専門会社と金融機関です。
2014年度の利息収入378億円、延滞金収入41億円。これらの金は経常収益ですから原資とは無関係のところに行きます。その金の行き先は銀行と債権回収会社です。
2010年度期末で民間銀行からの貸付残高はだいたい1兆円。年間利払い23億円。2010年度、債権回収を担当した日立キャピタル債権回収は、21億9545万円くらいを回収していて、1億7826万円を手数料として受け取っています。
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前半は『選択』記事と酷似し、後半は『日本の奨学金はこれでいいのか!』第2章と酷似している。
なにかの文献の引用であるといった注釈はない。そればかりか「…ですから現在の奨学金事業は奨学金事業ではなく金融事業です。若者を食い物にする貧困ビジネスだと私は考えています。こういうことに気が付きましたんで、私は団体をつくり運動を開始しました」と、大内氏自身の研究成果であるような説明をしている。
自分の著作と他人のそれとの区別がつかない大内氏の研究姿勢が学者としてあるまじきものであることは言うまでもない。だが、より問題なのは、それらの「盗用」疑惑を明確に指摘してもなお、うやむやにしている中京大学、そして氏の悪質な「盗用」を知り得る立場にありながら大内氏を支え続ける「文化人」たちだろう。
かくして、日本の学問の水準も信用もがたがたに落ちている。
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