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杉並区情報公開「白塗り」を問う/近く提訴へ

 杉並区の情報公開の在り方について、筆者がかねてから疑問をもっていた問題が「白塗り」である。情報公開条例の非開示理由にもとづいた非開示処分(黒塗り)ではなく、根拠を示さないまま白く塗るという悪習が行われている。これをやられると、請求人はなぜ非開示にされたのかがわからないだけでなく、不服の申し立てにも頭を悩ませることになる。権限を逸脱した違法な行政行為だと筆者は考えている。

 看過すべきではない大問題なので、訴訟を起こすことにした。歳出の決裁文書を開示請求したところ、決定通知書には「開示した」旨記載しておきながら、じっさいに開示した文書には、そこに押された区職員の印影部分の一部を白く塗っていた。これは非開示処分であり、取り消されるべきである。また非開示処分の理由を通知しなかったことも違法であるから、国賠法にもとづいて賠償せよ、という行政+国賠訴訟である。

 訴状の原案は以下のとおりである。裁判がはじまったらご報告したい。 

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訴    状

                            2021年5月 日

東京地方裁判所御中      

                 原  告   三 宅 勝 久

                 被  告  杉 並 区 

                 杉並区阿佐谷南1-15-1

               上記代表者兼処分行政庁 杉並区長

情報公開非開示処分取消等請求事件

訴訟物の価格 170万円

貼用印紙代 1万4000円

予納郵券代 6000円

請求の趣旨

1 被告は原告に対し、処分庁が2017年6月29日付で行った情報公開一部開示決定処分のうち、別表記載の各文書の非開示部分を取り消す。

2 被告は原告に対し、金10万円及びこれに対する2017年6月29日の翌日から起算して支払い済みまで年3分の割合による金員を支払え。

3 訴訟費用は被告の負担とする。

 との判決を求める。

請求の理由

第1 情報公開条例

 杉並区情報公開条例は、「情報の公開を求める区民の権利と、区が区政に関し区民に説明する責務とを明らかにするとともに、情報の公開に関し必要な事項を定めることにより、区民の知る権利を保障し、もつて区民の区政への参加を推進し、地方自治の本旨に即した、公正で開かれた区政の進展を図ることを目的」として制定され(第1条)、条例が定める非開示理由に該当する場合をのぞき原則開示するよう定めている(第6条)。そして、一部公開、または全部非公開処分をした場合は、「公開決定等にその理由を併せて通知しなければならない」と規定し、非開示とした合理的な理由説明を義務付けている(第10条第4項)。

(甲1)

第2 事実経緯

(1) 原告は2017年6月1日、処分行政庁に対して、杉並区情報公開条例(以下「条例」ということもある)に基づき、以下の請求内容で情報公開請求を行った。

 「記者会見」ならびに「記者懇談会」に関するすべての文書。現存するものすべて。ただしホームページ等で公表しているものを除く。 開催予定の案内状況、「記者懇談会」の趣旨、提供資料、記録、参加した職員の状況がわかる文書を含む。

(2) これに対して処分行政庁は、合計47件の文書を対象文書として特定し、一部文書を部分開示とした上で原告に可否決定通知書を交付した(以下、「本件処分」という)。当該可否決定通知書によれば、対象文書のうち以下の4件の文書については、いずれもすべて開示した旨記載がされている。(甲2)

・文書1 「回議用紙(財務)契約依頼 配当前:広報番組「すぎなみニュース」制作及び区長記者会見中継等業務委託(単価契約) 23杉財歳出000183-000」

                        (甲2別紙の16、甲3)

・文書2 「継続(分割)支払票 伝票番号23杉財歳出0001183-000」

                        (甲2別紙の20、甲4)

・文書3 「継続(分割)支払票 伝票番号24杉財0000860-000」

                        (甲2別紙の26、甲5)

・文書4 「継続(分割)支払票 伝票番号25杉財0001412-000」

                        (甲2別紙の31、甲6)

(3) 本件処分の通知を受けた後の2017年7月5日、原告は被告本庁舎において対象文書の閲覧を行った。その際、処分行政庁は文書1~4について、職員の決済印の一部を白く塗る加工を施したものを閲覧に付した(以下「本件白塗り処理」という)。そのため原告は当該文書のすべてを閲覧することができなかった。原告は処分行政庁に対して、白塗り加工の法的根拠をただしたが、具体的な説明は得られなかった。(甲4~6)

第3 白塗り処理は非開示処分にあたる

 本件白塗り処理によって、原告は文書1〜文書4の一部(印影部分)を完全な形で閲覧することができなかった。杉並区の情報公開制度において、条例上の理由なく対象文書の一部を非開示にすることはできない。したがって、本件白塗り処理は、条例にもとづいた一部非開示処分である。ただし、非開示理由は処分行政庁によって明らかにされていない。

第4 白塗り処理の違法性

 本件白塗り処理による非開示部分は、いずれも歳出手続きにおける被告職員の決裁印の一部である。条例が定める非開示理由のいずれにも該当しないのは明らかであるから、本件非開示処分は条例に反しており違法である。

第5 理由の付記義務違反

 ところで、条例第10条第4項は、非開示または一部開示処分をした場合においては請求人に理由を説明するよう義務付けている。しかし被告処分行政庁は、原告に交付した可否決定通知書に理由を記載しないばかりか、白塗り処理が非開示処分なのかどうかすら説明していない。被告処分庁による原告に対するこうした通知のあり方は、非開示理由の説明義務に違反しているというべきである。

第6 損害

 被告職員らによる違法な一部非開示処分により、原告は、条例によって保障されている知る権利を著しく侵害された。また、被告職員らが一部非開示理由の説明をしなかったことによっても、同様に、条例によって保障された非開示理由の説明を受ける権利を著しく侵害された。これらの権利侵害によって原告は精神的苦痛を受け、本訴訟の提起を余儀なくされた。原告が被った損害は、金銭に換算すると5万円を下らない。被告は国家賠償法第1条第1項にもとづきこれを賠償する義務を負う。

第7 不服審査請求及び教示

 原告は2017年7月5日、本件白塗り処理にかかる非開示処分の取り消しを求めて、杉並区長に対して審査請求を行ったが、現在にいたるまで採決はなされていない(甲7)。本件処分にあたり、「審査請求をした場合には、処分の取消しの訴えは、その審査請求に対する採決があったことを知った日の翌日から起算して6箇月以内に提起することができます。」との教示があった。(甲2)

 証拠方法

 証拠説明書記載のとおり

  別表

以上

別表

・文書1 「回議用紙(財務)契約依頼 配当前:広報番組「すぎなみニュース」制作及び区長記者会見中継等業務委託(単価契約) 23杉財歳出000183-000」

  非開示部分:印影3か所(1頁)

・文書2 「継続(分割)支払票 伝票番号23杉財歳出0001183-000」

  非開示部分:印影13か所(1頁4か所、2頁6か所)

・文書3 「継続(分割)支払票 伝票番号24杉財0000860-000」

  非開示部分:印影12か所(各頁6か所)                       

・文書4 「継続(分割)支払票 伝票番号25杉財0001412-000」

  非開示部分:印影12か所(各頁6か所)

甲1 杉並区情報公開条例

甲2 可否決定通知書 29情第34号(2017年6月29日)

甲3 回議用紙(23杉財歳出000183-000)

甲4 継続(分割)支払票(23杉財歳出0001183-000)

甲5 継続(分割)支払票(24杉財0000860-000)

甲6 継続(分割)支払票(25杉財0001412-000)

甲7 審査請求書(2017年7月5日)                       

作成者: MIYAKE.K

みやけかつひさ ジャーナリスト・スギナミジャーナル主宰者

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