杉並区選挙管理委員会が情報公開請求にともなう審査請求(行政の行為に対する「簡易迅速」な不服申し立て目的とした法的手続き)を、2017年7月5日の申し立てから現在まで、3年8ヵ月以上も事実上「放置」している問題で、情報公開担当の管理職職員が筆者の問い合わせに対し、諮問機関(杉並区情報公開・個人情報審査会)の審査能力にあわせて本来とるべき手続きを遅らせてきたーーなどと遅延理由を説明した。
審査請求があると、審査庁(区長や選管など)は、本来、非開示処分を行った部署(同)に弁明書提出を求め、つづいて審査請求人に反論書提出を求めなければならない。それらの意見がひととおり出た段階で諮問機関に送り、審議・答申を待つ。その後、答申を受けて審査庁は採決をする。
ところが、杉並区は諮問機関のスケジュールにあわせて、弁明書の提出要求というもっとも最初の手続きから停滞させていたことが判明した。簡易迅速な不服審査の権利を保障した行政不服審査法の趣旨をないがしろにするもので、早急に検証・改善が求められる。
なお、板橋区総務課は、審査請求の手続きに関する取材に対して以下の通り説明した。(2021年3月17日。電話取材)
ーー審査請求の流れをおしえてほしい。
審査会に諮問を求めるまでの手続き総務課法規担当がをやる。諮問以後は情報公開担当がやる。
ーー諮問までの時間は。
審査請求があってからすみやか(数日)に、実施機関に対して弁明書の提出要求をする。提出期限は4週間をめやすにしている。弁明書が出てくると請求人に反論書提出を求める。同じく期限は4週間をめやすにしている。弁明書と反論が終わってから諮問する。弁明と反論がなんどもくりかえされて1年くらいかかることもある。
ーー実施機関が処分変更を予定しているような場合、弁明書要求を保留することはあるか。
変更する場合も、弁明書要求のあとですればいいのでそれはない。事務的に要求をする。弁明書要求の決裁は区長がやる。審査庁はすべて区長。一部、生活保護(国)や都の受託事務がある。この場合は審査庁は異なる。
3年8ヵ月以上におよぶ審査請求手続きの著しい遅れの違法性を問い、杉並区を相手取って10万円の損害賠償を求めた訴訟(仮称「杉並区サンパチ国賠訴訟」)の第1回口頭弁論は、4月15日14時30分、東京地裁415号法廷で開かれる予定。