日本学生支援機構の顧問弁護士の筆頭に熊谷信太郎弁護士がいる。サラ金大手・武富士(経営破綻)の代理人をした人物だ。熊谷事務所にはかつて吉村洋文・現大阪府知事が所属しており、武富士代理人を共にした。
支援機構は日々、悪徳金融企業の性格を強めている。筆者は取材を通じてそう感じているのだが、悪徳大手サラ金と縁の深い弁護士と長年随意契約を続けているのは偶然ではあるまい。
その支援機構の「奨学金ローン」事業でもっとも重大な問題のひとつと筆者が考えているのが「繰り上げ一括請求」(期限の利益喪失)である。日本学生支援機構法施行令や日本育英会施行令には、「支払能力があるにもかかわらず」著しく延滞した場合に、分割弁済する予定だったものを前倒しにして一括請求できると規定している。通常のローンは、返済が滞れば、その理由が経済的事情であっても一括請求される。そう特約に定めている。ところが「奨学金ローン」は、経済的困難による延滞については、一括請求してはならない――はずである。
ところが支援機構は、支払能力の調査をせず、「一定期間連絡がない」ことをもって「支払能力」があると認識するという手前勝手な施行令の解釈を行っている。筆者は2013年ごろにこの問題に気づき、現在まで継続的に書籍や記事で告発を続けているがあらめる気配はない。
そうしたなか、函館地裁で2020年、支援機構の施行令を無視した一括請求に対して、これを無効だとする判決がくだされていたことが判明した。支援機構は何ごともなかったかのようにだんまりを決め込んでいたことになる。
雑誌『週刊金曜日』の「日の丸闇金”奨学金”」第16回、17回(今週発売の最新号)で報告している。ぜひお読みいただきたい。