杉並区が2017年に行った情報公開手続きをめぐり、文書の一部(印影)を白く塗った行為は条例違反だとして撤回を求めている問題で、区は3月28日付で「白塗り」の誤りを認めて訂正する内容の再処分を行った。
問題の白塗りに驚いて異議申し立てをしてからざっと5年と10か月、2件の訴訟と多数の審査請求を経てようやく正常化にたどり着いた。ご支援いただいた読者各位に感謝申し上げる。
このほど区選管から届いた変更決定通知書には次の通り記載されている。
〈令和3年(ワ)第6051号 国家賠償請求事件及び令和3年(行ウ)179号 行政文書非公開決定処分取消請求事件の判決を受け、当初の決定内容について再検討したところ、当初決定において印影部分の一部を白塗り処理とした部分については、これを公開しない処分があったと判断し、このことから、当初決定は印影の一部を非公開としたことについて理由の通知を欠くものであり、また当該印影部分は杉並区情報公開条例第6条第1項各号の非公開情報公開のいずれにも該当しないものであったと判断したため。〉
白塗りは非開示処分であるから非開示理由の通知義務がある。それを怠った。そして、印影部分(選挙運動費用収支報告書)は非開示情報ではない、という趣旨で、6年前から筆者が繰り返し説明してきたことである。
行政の過ちを放置すればそれが当然のことになってしまう。是正をはかる取り組みをあきらめず続けることの大切さを痛感する。
なお、審査請求の手続きは、本来なら申し立て後すみやかに情報公開審査会の諮問に付さなければならないが、杉並区は6年近くにわたってなにもせずに放置した。今回の処分変更を受けて区から審査請求のとりさげを求められたが、筆者は拒否した。却下の裁決がなされる見通しで、そこに6年間の経緯が記載されることを期待している。
