2014年1月15日朝、広島沖の瀬戸内海で起きた輸送艦「おおすみ」と釣り船の衝突事故(釣り船の船長ら2人が死亡)からまもなく9年になります。事故当時、海上幕僚長だった河野克俊氏(後に統幕長、現川崎重工顧問)の回想録『統合幕僚長』が2020年9月に発行されました。事件についても記述がありますが、事故の核心にかかわる多くの部分に誤りがあります。長年事件を取材してきた筆者には、これが単なる「誤り」にはとても思えません。
マイニュースジャパンに検証記事を書きましたのでご覧ください。
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【『絶望の自衛隊』刊行 隊員虐待や自殺が多発する実態をレポート―日本帝国陸海軍から受け継いだ無責任の構図―】
本サイトで継続的に報告してきた自衛隊の虐待問題や劣悪な労働環境問題、そして輸送艦「おおすみ」事故をめぐる疑問と検証記事をまとめた単行本『絶望の自衛隊 ―人間破壊の現場から―」(花伝社、本体定価1700円)が12月5日、刊行された。2013年以降に起きた10件の事件を追ったルポで、筆者の自衛隊シリーズ第5作。頻発する虐待や自殺、各種不正を前に、政府・防衛省が本気でそれらを無くそうとしていない実態が浮き彫りとなる。末端の隊員や中間管理職の責任は追及しても、幹部たちが決して責任をとらない構図は、旧日本帝国陸海軍から受け継いだ無責任の構図そのままだ――約20年におよぶ取材を振り返って筆者はそう感じている。
Digest
- 20年の取材で見えた自衛隊「無責任」の構図
- 輸送艦に追突されたと生還者証言
- 嘘3連発
- 「AISで両船の航跡が判明」の嘘
- 「生存者の証言に矛盾」の矛盾
- 「情報一元化」の意味
- 記者クラブメディアを使った情報操作か
- 事故の真相
- 艦長尋問
- 音声記録は物語る
- 秘密保護法と立身出世