住基ネットの個人情報を漏洩したとして、警視庁が11月5日、住民基本台帳法違反の容疑で杉並区区民生活部主事の男性職員を逮捕するという事件が起きている。
https://www.city.suginami.tokyo.jp/news/r0411/1078406.html

岸本聡子区長は9日の記者会見でこの事件に関する記者の質問を受け、高橋俊康区民課長とともに答えたが、一定の不可解さが残る説明ぶりであった。筆者はあいにく別件の仕事で記者会見に出ることができなかったので、区ホームページで公開されている動画を見ての感想である。
この問題を質問したのはジャーナリストの寺澤有氏と毎日新聞記者の2人だけだった。そのことにも驚きを覚える。
区ホームページの記載や記者会見での区側の説明(1時間0分30秒付近〜)によれば、経緯はこうだ。
・今年2月28日、個人情報漏洩を告発する顕名の手紙がとどく。手紙には漏洩された被害者の氏名と個人情報が記載されていた。
・同日、区は住基ネットを調査し、検索履歴から男性主事を特定する。
・3月1日、区は当該の主事に対して聞き取りを実施、「検索した記憶はなく、不正行為は一切行っていない」と回答。
・3月2日、区は警察に「相談」。
・11月5日、警視庁は男性主事を逮捕。
記者会見でのやり取りを見てまず強い疑問を覚えたのが、漏洩の有無に関する調査のずさんさだ。告発の手紙で漏洩が確認された被害者のデータに関して関与した職員を調べるのは当然だが、それ以外にも個人情報の不正アクセスや漏洩がなかったか、調べた形跡がない。通報によって被害者名がわかった部分だけを調べて終わりだ。
岸本区長の説明も「(漏洩事件に対する対応を職員に)指示したかというよりは、私も入った上で対策を関係の職員とやってきたというほうが理解が現実に近いと思う」といった調子で、毅然として調査をするというには程遠い印象がある。
逮捕された主事は情報漏えいを否定しているという。仮に事実だとすれば、彼のIDを使って別の職員が犯行を行った可能性が出てくる。IDの使いまわしはなかったか。そう疑う余地も多分にあるが、調査がなされた様子はない。260人いるという住基ネット操作権限者のうち、おざなりで形式的な内部調査の後、警察に突き出されたのは件の主事だけなのだ。
★そして、名乗った上で告発した人物だ。彼あるいは彼女は、いったい何者なのか。なぜ漏洩したとされる情報をもっていたのか。いっさい説明しようとはしなかった。★
あるいは、説明していない事実、説明したくない事実があるのかではないか。そんな気がしてくる。注意深く事件をみていきたい。
「「杉並区住基ネット情報漏洩事件」の怪 内部調査ほぼ皆無で警察に丸投げって? (★加筆)」への1件の返信
今回の事件については今後の役所のあり方、マイナンバーの進め方に警鐘を鳴らしたと思います。私も報道を見て、区長が余りにも今回の事件を軽視していると感じました。情報を漏洩した本人の処分のことばかり、漏洩された人達の今後の安全は誰が保証するのでしょう?ヤクザに情報が漏洩?考えただけで恐ろしい。命を奪われる可能性も有るのに。その被害者の方々は、今後も同じマイナンバーを使い続けるのでしょうか?
ミヤケさんの疑問点『名乗った上で告発した人物だ。彼あるいは彼女は、いったい何者なのか。なぜ漏洩したとされる情報をもっていたのか。』この点について、他の報道では、都外の男女2名という書き方でした。その都外の男女2名という方々が、役所に情報漏洩されていると書類を送ったのでしょうか?理解が出来なかったので、教えて頂けたら幸いです。