選挙運動費用収支報告書の情報公開請求に対して、出納責任者の印影を非開示とした板橋区選管の行為に対して、東京地裁は先日、「印影は非開示情報ではない」との判断をした。この印影問題については、すでに高松市と板橋区の情報公開に関する諮問機関が開示を妥当とする答申を出しており、印影非開示を是とする余地はもはやない。板橋区選管は、答申を受けて印影含めてすべて開示する処分変更を行った。
決着のついた問題であるが、なおも頑強に非開示を撤回しない自治体がわずかにある。東京都選管と高知県選管だ。どちらも、印影非開示の取り消しを求めて審査請求を行い、諮問機関への諮問がなされている。結論はまだない。 東京都に手続きの進捗をたずねたところ、「情報公開審査会に係属している案件が多数あり、年内は無理」との回答があった。
時間をかけて議論するような内容にはとても思えない。すべて開示するよう処分変更をすれば済む話である。現にそうしている自治体がいくつもある。東京都北区しかり、千代田区しかり。
自分たちで判断できない。だれかに指示してもらうまで現状を放置するという考えなのだろうか。これでは仕事が停滞するのも無理はない。
審査請求(簡易迅速に行政の不備に不服を申し立てる制度)の結果を待つより、あらためて開示請求を行い判断をさせるようが早いかもしれない。そう考えて、都選管と高知県選管に、前回知事選の選挙運動費用収支報告書(現職知事分)の開示を求める情報公開請求を行った。請求書に、判決文のURLと併せて次のように書き加えた。
※なお、貴選管では従来、出納責任者の印影を非開示とする運用をしておりますが、東京都板橋区選管による選挙運動費用収支報告書の印影非開示をめぐる国賠訴訟(令和3年ヮ26199号)で東京地裁は、印影は条例の非開示情報にはあたらないと判断しています。開示すべきであることは明白ですので、その点慎重にご判断ください。
●判決文はこちら
https://miyakekatuhisa.com/archives/2114