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杉並区 自転車撤去問題 行政腐敗

杉並区自転車撤去手数料の謎/納入通知書発行も督促もしないまま「5年で時効完成」認める

 2018年5月2日、筆者は高円寺駅前において、路上に約2時間駐輪していた自転車を杉並区の委託業者(協和産業)によって撤去された。条例にもとづく措置であった。自転車は近くの高円寺集積所に運ばれていた。

 以後3年近くにわたり筆者の自転車はそこに置かれたままである。筆者は「私あての納入通知書を発行した上で自転車をすぐに返してほしい」と言いつづけてきたが、杉並区は「納入通知書は発行できない。撤去手数料5000円を現金で協和産業に支払えば自転車は返還する」として自転車の返還に応じようとしない。

 なぜこんなことになっているのか。事情はいささかややこしい。

 私が納入通知書を発行せよと言っているのは、要は請求書を送れいうことである。自治体が債権を請求する正式な手続きが納入通知なのだ。調定という作業をまずやり、債権額やその原因、請求の責任者、債務者(請求相手)、債務の履行期限を確定させる。そして、それらを明記した文書をつくって債務者に送る。それが納入通知書である。

 手数料5000円の債務があることは、私は否定していない。その上で「ちゃんと請求してください」と言っているだけだ。請求書がくればもはや杉並区が私の自転車を専有する理由はなくなる。

 自転車を持ち去り、引き替えに5000円を取るというやり方に疑問があるから、あえてこうした正式な手続きにこだわっている。

 請求してくれという言い分に対して杉並区は、調定の作業も納入通知書を発行する作業も頑として拒否し、一方で自転車を返そうとしない。当初は「早く5000円を払え。2週間で自転車は処分する」と言っていた。だが結局それをすることができず今日にいたった。

 3年近くにもなるのに杉並区が自転車を「処分」できないのは、条例上、区は自転車を「移動・保管」しているだけだからだ。所有者等が判明すればすみやかに返還しなければならない。担保としての意味ももちろんない。

 区が自転車を処分できるときというのは、所有者が所有権を放棄したり所有者が不明のとき、自転車が明らかに機能を失っているときだけである。私は撤去直後から一貫して「私の自転車なので返してほしい」と言っている。だから区は処分したいのかもしれないが、やってしまうと違法行為になってしまう。

 納入通知をださないまま、つまり債権の請求をしないままときがたてば、いずれ消滅時効を迎える。自転車撤去の手数料は、非強制公債権と呼ばれる種類の債権で、時効は5年である。このたび筆者は、このまま時間が経過すれば時効が完成するのではないかと考えて、その点を杉並区に確認した。約2ヵ月かかって届いた回答が以下のものである。



2023年5月2日に時効が完成すると杉並区自身が認めている。一方で、調定はしない、納入通知書は発行しない、とも明言している。調定と納入通知書の発行をしなければ督促や裁判によって回収することも不可能だ。請求しないまま時効を迎えるしかない。

 時効を迎えてしまえばもはや自転車を専有する理由は完全になくなる。自転車が傷むから早く払えということを書いてあるが、自転車が傷まないように保管する善管注意義務を区は負っているので、この言い方はおかしい。払わないと自転車を処分するぞ、というやり方から、「払わないと自転車が傷むぞ」に変わっている。

 納入通知書を発行して自転車を返すという単純な事務がなぜできないのか。やろうとしないのか。首をかしげざるを得ない。 

作成者: MIYAKE.K

みやけかつひさ ジャーナリスト・スギナミジャーナル主宰者

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