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印影不開示問題 情報公開 板橋区 行政腐敗

選挙運動費用収支報告書を一部黒塗りにした板橋区選管の情報「非公開」感覚を疑う(一部訂正)

 公職選挙法により、中央選管や各自治体選管に対して、何人にも閲覧させることを義務付けている文書に「選挙運動費用収支報告書」というものがある。議員や首長選挙の立候補者が、自身の選挙に関する収支を記載したものだ。

 公選法にあるのは閲覧規程だけで、写しの公布については定めがない。そこで、報告書の写しを入手するため板橋区選管に情報公開請求をした。事務的な手続きだけで全部開示されると思っていたところ、予想だにしない結果となった。会計責任者の陰影部分を黒塗りにして一部非開示にしたのだ。

【公職選挙法】
(報告書の公表、保存及び閲覧)第192条 
 第百八十九条の規定による報告書を受理したときは、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(参議院比例代表選出議員の選挙については中央選挙管理会、参議院合同選挙区選挙については当該選挙に関する事務を管理する参議院合同選挙区選挙管理委員会)は、総務省令の定めるところにより、その要旨を公表しなければならない。
 2 前項の規定による公表は、中央選挙管理会にあつては官報により、参議院合同選挙区選挙管理委員会にあつては各合同選挙区都道府県の公報により、都道府県の選挙管理委員会にあつては都道府県の公報により、市町村の選挙管理委員会にあつてはそのあらかじめ告示をもつて定めたところの周知させやすい方法によつて行う。
 3 第百八十九条の規定による報告書は、当該報告書を受理した選挙管理委員会、参議院合同選挙区選挙管理委員会又は中央選挙管理会において、受理した日から三年間、保存しなければならない。
 4 何人も、前項の期間内においては、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会(参議院比例代表選出議員の選挙については中央選挙管理会、参議院合同選挙区選挙については当該選挙に関する事務を管理する参議院合同選挙区選挙管理委員会)の定めるところにより、報告書の閲覧を請求することができる。

 選挙運動費用収支報告書の写しを入手するには情報公開法や各当道府県、自治体の情報公開条例をつかって開示請求をするのがふつうだ。そしてこの開示請求に対してはいっさいの黒塗りなしで開示がなされるのもふつうだ。閲覧は公選法、写しの交付は条例と便宜上手続きを住み分けているに過ぎない。
 

 印影を非開示にした理由は、選管の通知書によれば、情報公開条例6条1項4号だ。「行政上の義務に違反する行為の取締りその他公共の安全と秩序の維持に関する情報」に該当するという。

 見過ごすことのできない誤った判断だと考えた筆者は、すぐに不服審査を申し立てた。2021年1月13日で区選管から区長に提出された「弁明書」には、次のような弁明が述べられている。

〈 印影については、写しの交付により複製を可能とし、犯罪を誘発する恐れがあることから、情報公開条例第6条第1項第4号に規定する「行政上の義務に違反する行為の取締りその他公共の安全と秩序の維持に関する情報」として、従来からの区の印影に関する情報開示の方針に倣い、非公開とした。
 以上のことから、本件審査請求は棄却されるべきである。〉

 選挙の公正さを担保するためにひろく公開することを前提に作成・提出された文書を、「犯罪を誘発する恐れがある」というあいまいな理由で一部非開示にする。選挙の公正さを損ないかねない大問題ではないだろうか。

作成者: MIYAKE.K

みやけかつひさ ジャーナリスト・スギナミジャーナル主宰者

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