地方自治体の情報公開手数料の払い方について、筆者は長年改善を求めてきた。従来は現金書留や郵便小為替での納付を指示するところが大半だった。これだと500円以上の送金手数料がかかるので、指定金融機関で手数料なく払えるよう納入通知書を発行するよう求めた。結果、47都道府県のうちかなりの自治体が納入通知か納付書に切り替えた。
東京周辺(東京、埼玉、千葉、神奈川)では、現金式をとっているのは神奈川県だけとなった。そこで早急に改善するよう3年ほど前から再三にわたって要望してきた。結果、県はようやく検討を開始し、他自治体のやり方を参考にするため全都道府県の運用状況を、第41回都道府県情報公開研究会議でアンケートを行うという方法で調査した。その調査結果が判明した。以下に記す。
なお、筆者の経験では納入通知などを発行した実績のある自治体が、「現金のみ」と回答した例がある。
北海道 ☓(現金)
青森 ○
岩手 ○
宮城 ☓
秋田 ☓
山形 ○
福島 ○
茨木 △(要望があれば対応する)
栃木 ☓(検討したが入金に時間がかかるので不採用)
群馬 ☓
埼玉 ○(ペイジー)※収納サービス
千葉 ☓
東京 ○
神奈川 ☓(検討中)
新潟 ○
富山 ☓
石川 ☓
福井 ○
山梨 ☓
長野 ☓
岐阜 ☓(納入通知で納入した場合の処理が煩雑)
静岡 ☓(納入通知の義務が必要な歳入」にあたるとは考えていない)
三重 ☓(納入通知発行後未納になったときの処理が難しい)
滋賀 ☓ (処理が煩雑)
京都 ○(納付書)
大阪 ○
兵庫 ○
奈良 ○
和歌山 ☓
高知 ○
島根 ○
鳥取 ○
岡山 ☓
広島 ○
山口 ○
徳島 ○
香川 ○
愛媛 ○
高知 ○
福岡 ☓
佐賀 ○
長崎 ☓(長崎県証紙に限る)
熊本 ☓
大分 ☓
宮崎 ○
鹿児島 ○
沖縄 ○
中国四国地方は優秀である。最悪は長崎県で、県の証紙でしか払えないという旧態然とした方法をいまもとっている。県の証紙は長崎県でしか売っていない。
https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/kenseijoho/kennojorei-koho/urisabakinin/3819.html
納入通知の導入に消極的な自治体が説明する理由のひとつは、納入通知発行後、未納だったときの処理が難しいというのがある。また、入金後確認に時間がかかるというのもある。
この点についてはよい方法がある。上の結果をみて気づいた。
納付書、またはペイジーである。
納付書は債権を確定する作業(事前調停)を行わなず、入金後に歳入処理をする(事後調停)際につかう手続きである。これであれば、未収になってもそのままにしておいて問題はない。入金確認に時間がかかるのが困るというのであれば、入金者が領収書を写真にとって送るなどすればすぐに確認できる。収納サービス「ペイジー」であれば、即座に確認できる。
納付書、ペイジーなど、入金者に費用負担の生じない入金方法を導入しない理由はもはや何もない。