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岩手大学准教授研究不正問題
倫理委判定は、特定不正行為ではなく「只の不正行為」と判明

 岩手大教育学部の菊地洋准教授の剽窃事件で、同大研究倫理委が出した「不正」認定の輪郭がわかってきた。同大に取材したところ、菊地准教授の問題の論文について、倫理委は「特定不正行為」(盗用、捏造、改ざん)にはあたらないとしながら、それ以外の「不正行為」(不適切な流用[剽窃])があったとの判断をした旨回答した。

 岩手大の内部規程では、「特定研究不正行為」が認定された場合は速やかに公表することを義務付けているが、それ以外の「研究不正行為」については原則として公表が義務付けられていない。今回は、筆者が本ブログで指摘しているという事情を踏まえて「調査結果を公表」したという。

「特定不正行為に関する告発等への対応について定める細則」は、特定不正行為との認定がなくても公表する場合として次のように定めている。

【特定不正行為に関する告発等への対応について定める細則】

20条2項 特定不正行為の事実がなかったと認定したときは、原則として、調査結果は公表しないものとする。ただし、調査事案が外部に漏えいしていた場合及び論文等に故意によるものでない誤りがあった場合は、調査結果を公表する。悪意に基づく告発の認定があったときは、調査結果を公表する。

 今回の公表はこの20条2項に基づいたものか、と筆者は考え、大学に尋ねた。回答は「20条2項に準拠して…」というややはっきりしないものであった。更に確認すると、じつは懲戒処分などの手続きにもとづく公表であって、研究不正の手続きに基づいて公表したわけではないことを認めた。

 そうすると、20条2項の公表義務が本当にないのか、疑問が出てくる。本ブログで何度も問題を指摘しており、「調査事案」はすでに「外部に漏洩」している。

 むろん、新聞記事を論文のなかで自分の言葉として使った行為が特定不正行為(盗用)にならないのはなぜなのか、「故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠った」行為として認定されなかったのはなぜか、大きな疑問がある。

「特定不正行為」と「不正行為」の違いについては、規則に定義している。

【岩手大学における研究活動に係る不正行為防止規則】 

第2条

三「不正行為」とは、研究者倫理に背馳し、研究活動及び研究成果の発表において、その本質ないし本来の趣旨を歪め、科学コミュニティの正常な科学的コミュニケーションを妨げる行為をいい、具体的には、得られたデータや結果の捏造、改ざん、及び
他者の研究成果等の盗用が、不正行為に該当するほか、他の学術誌等に既発表又は投稿中の論文と本質的に同じ論文を投稿する二重投稿、論文著作者が適正に公表されない不適切なオーサーシップなどが不正行為として含まれうる。
四「特定不正行為」とは、故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる、投稿論文など発表された研究成果の中に示されたデータや調査結果における次の各号のいずれかに該当する行為をいい、その用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。
イ捏造
ロ改ざん
存在しないデータ、研究結果等を作成する行為
研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工する行為
ハ盗用
他の研究者のアイディア、分析・解析手法、データ、研究結果、論文又は用語を、当該研究者の了解又は適切な表示なく流用する行為

作成者: MIYAKE.K

みやけかつひさ ジャーナリスト・スギナミジャーナル主宰者

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