神奈川県警職員の再就職先が記載されている「求人票」、いわゆる天下りリストの企業名などが非開示にされており、その開示を求める訴訟で、7月12日の弁論準備手続きを控え、原告の筆者はきょう準備書面を提出した。ここに転載する。
===
令和3年(行ウ)第75号 情報公開非開示処分取消等請求事件
原告 三宅勝久/被告 神奈川県
準備書面4
2022年7月12日
横浜地方裁判所第1民事部御中
原告 三宅勝久
第1 処分庁が決定通知の訂正を行なった事実について
(1)訂正の経緯
処分行政庁・神奈川県警本部長は、2022年7月1日付で、本件非公開処分にかかる行政文書一部公開決定通知(甲2)の内容を訂正する通知を原告に郵送した(甲17)。訂正部分は、合計60か所以上もの多数に及ぶ(甲17、2〜3頁「訂正内容」欄参照)。単純な誤記とみられるものを除いても50か所を下らない。なお、本件訂正通知は、原告が被告に指摘したことが端緒となってなされたものであり、処分行政庁が自発的に行なったものではない。
ところで、本訴訟で争点となっている文書のうち当初の決定通知に記載がないもの(「法人概要欄」。9、10は「配属希望所属欄」)は13件である。以下一覧で示す。
1 平成30年10月30日「148」の記載がある文書(甲7-2さしかえ、通番105)
2 令和 1 年 11 月 27 日「156」の記載がある文書(甲4-2さしかえ、通番21)
3 令和 1 年 11 月 27 日「158」の記載がある文書(同通番22)
4 令和 1 年 11 月 27 日「159」の記載がある文書(同通番23)
5 令和 1 年 11 月 27 日「160」の記載がある文書(同通番24)
6 令和 1 年 11 月 27 日「161」の記載がある文書(同通番25)
7 令和 1 年 11 月 27 日「162」の記載がある文書(同通番26)
8 令和 1 年 11 月 27 日「163」の記載がある文書(同通番27)
9 日付なし「196」の記載がある文書(同通番28)
10 日付なし「197」の記載がある文書(同通番29)
11 令和1年12月6日「200」の記載がある文書(同通番30)
12 令和1年11月29日「203」の記載がある文書(同通番31)
13 令和1年12月19日「235」の記載がある文書(同通番32)
このうち本件訂正通知によって非開示理由の説明がなされたのは、2〜8、11〜13の10件である。条例5条1号本文に該当し、ただし書きのいずれにも該当しないとの説明がなされた。(甲17、21頁)
(2)訂正後も3件については理由説明がない
一方、本件訂正通知によってもなお非開示理由の説明がなされていない文書がある。上記一覧の1および9〜10の3件である。1については、従来の非開示部分(法人概要欄の一部)を開示した文書を原告に交付した(甲17、33頁)が、9および10については、訂正後においても各文書の「配属希望所属」欄を一部非開示にした理由の通知はなされていない(甲17、20〜21頁)。
なお、1に関する訂正について被告情報公開担当職員は「当初から非開示処分ではなかったものを誤って黒塗りにしていた」(趣旨)と原告に説明した。しかしながらこの説明は誤りである。法人概要欄を非開示処分にしたうえで理由の通知を行わず、その後当該処分自体を取り消したというべきである。
また、10の文書については、神奈川県知事宛の情報公開請求において「配属希望所属」欄記載情報がすべて開示されている(甲18)。
(3)小括
上記のとおり、処分行政庁の情報公開にかかる事務はずさんきわまりない。理由通知義務違反の程度は大きく、被告職員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったことは明白である。
以上