神奈川県は全国の都道府県や国に先駆けて、1983年に情報公開条例を制定したことで知られる。しかし、40年を経た今、残念ながら情報公開後進県と評せざるを得ない。神奈川県警の天下りリスト(求人票)の法人名まで黒塗りにするという激しい非開示体質だけでなく、遠隔地からコピー代を納入する方法を「現金書留または郵便(定額小為替)」に限定している。こうした事実をみれば文字どおり「後進県」である。
情報公開の手数料納入方法は、市民の知る権利にかかわる大きな問題だと筆者は考えている。現金納付と納入通知書による納付では、利用者の負担には雲泥の差がある。
納入通知書を発行すれば、開示請求者は手数料なくもよりの指定金融で納入することができる。一方で、現金書留や郵便為替は高額の手数料が発生する。郵政民営化以降、為替料金は高額になった。普通為替で約500円、定額小為替は1枚200円だ。
関東地方の都道府県は、神奈川県と群馬県※を除いてすべて納入通知書を発行している。地方自治法231条は、歳入は納入通知によらねばならない旨規定している。
第231条 普通地方公共団体の歳入を収入するときは、政令の定めるところにより、これを調定し、納入義務者に対して納入の通知をしなければならない。
つまり、現金による収受はあくまで例外だ。
なぜ納入通知書を発行しないのか――神奈川県情報公開広聴課に対して、筆者はこの疑問を再三にわたって指摘し、改善を求めてきた。記憶によればコロナ騒動の初期からだから、かれこれ2年以上になるだろう。同課は「検討中である」「コロナ対応で人手不足である」などといって解決を先送りにしてきた。
そしていまなお、何も変わらず、先日も以下のような文書を送りつけてきた。

20円のコピー代を現金書留か為替で送れという指示書だ。為替については宛名欄を空欄にするように指示、さらに紛失しても責任を負いかねるから書留郵便で送るように「助言」している。白紙の為替は現金とかわらない。
まるでいやがらせである。社会に対するイジメといってもよいだろう。
開示請求を抑止したいのか、それとも「現金」にこだわる別の理由があるのか。まさかとは思うが、「現金」を郵便によって物理的にやりとりする限り、そこには一定の不透明さが伴う。
※その後の取材で群馬県も「現金」のみであることが判明しました。謹んで訂正します。