選挙運動費用収支報告書の写しを入手する目的で板橋区選管に対して情報公開請求したところ、寄附者の氏名・住所、出納責任者の印影など多数か所を非開示にした(印影以外は2週間後に撤回)ことの違法性を問う国賠訴訟の口頭弁論が、6月6日、東京地裁(民事49部、村田一広裁判長・令和3ワ26199)であり、結審した。判決は9月14日に言い渡される。
事件の経緯は以下のとおり。
2020年9月、筆者は板橋区選管に対して坂本健区長の区長選にかかる選挙運動費用収支報告書の情報公開請求を条例にもとづいて行った。これに対して同選管は同年10月、坂本氏のものを除くすべての個人名や住所、電話番号を非開示にしたものを「開示」した。個人情報だというのが理由だった。
すべて開示すべきではないかと口頭で職員に苦情を伝えたところ、2週間後に大半の黒塗りは撤回された。しかし、出納責任者の印影は引き続き非開示のままだったため、2020年12月、印影非開示の取り消しを求めて行政不服審査法に基づく審査請求を申し立てた。
審査請求手続きのなかで、諮問機関の「板橋区情報公開及び個人情報保護審査会」は2021年9月8日、「非開示は妥当ではない」との答申を出す。答申後も板橋区選管が「印影非開示」を取り消さなかったため、同年10月11日、国賠訴訟を提起、第1回口頭弁論の同年12月、ようやく印影をすべて開示した収支報告書を法廷に提出した。――
選挙運動費用収支報告書の印影を非開示としている自治体は、筆者が把握する限りでは高知県選管と東京都選管で、いずれも審査請求の手続きが行われている。23特別区の選管はいずれもすべて開示している。
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