カテゴリー
情報公開 横浜市 行政腐敗

神奈川県警天下りリストの黒塗りは違法――裁判
反論の書面提出

 神奈川県警の元職員が再就職するための民間企業の「求人票」を全面黒塗りにしたことの違法性を問う訴訟が現在横浜地裁で進んでいる。5月30日に予定されている弁論準備手続にそなえて、原告の筆者はきょう、反論の書面を郵送した。この場を借りてご紹介したい。いたらない部分が多々あると思うので、御意見をいだだければ光栄である。

 ====

令和3年(行ウ)第75号 情報公開非開示処分取消等請求事件
原告 三宅勝久
被告 神奈川県
                  2022年5月30日

横浜地方裁判所 第1民事部御中

準備書面2

                    原告 三宅勝久  

 被告の主張に対して以下反論する。

第1 対象文書の整理
 本訴訟において原告が処分取消を求める対象文書を、以下のとおり「A文書」と「B文書」の2種類に分類した上で整理する。
 A文書:地方公共団体が作成・提出した求人票(部署名・連絡先等を非開示にしたもの) 
 B文書:民間企業などの法人が作成した求人票(法人名などを非開示にしたもの)

(1)A文書 
 合計36枚
(内訳)
2016年度 5枚  
2017年度 7枚 
2018年度 7枚 
2019年度 12枚 
2020年度 5枚 
(甲4−1、4−2)

(2)B文書
 合計641枚
 (内訳)
2016年度 93枚 (甲5−1、5−2)
2017年度 109枚 (甲6−1、6−2)
2018年度 194枚 (甲7−1、7−2)
2019年度 165枚 (甲8−1、8−2)
2020年度 80枚 (甲9−1、9−2)

第2 求釈明
 対象文書を整理する過程で判明した不明点について、原告の主張・立証に必用であるので釈明を求める。
 
(1) A文書のうち「配置希望表(警察官)」の記載がある文書(甲4−1の27、28枚目)は、神奈川県知事部局への再就職(再雇用)を目的として被告神奈川県が作成したものか否か、文書の作成者および文書の意味を説明せよ。
(2) A文書(甲4−1)の32~34、36枚目の各文書に日付がないのはなぜか、理由を釈明せよ。また、甲13(横浜市が開示した求人票との対象表)の25~27、29の各頁における左右の文書は同一のものか、否か、説明せよ。
(3) 横浜市に対する情報公開請求により、横浜市教育委員会が作成した2020年11月6日付の求人票が開示された。しかしながら、本件開示請求ではこの文書は請求対象文書として特定されていない(甲13、30頁)。理由を説明せよ。
(4) B文書2019年度164枚目の文書(甲9−1・164頁、「令和2年1月28日」「259」の記載があるもの)に記載された「人事課記入欄」の意味を説明せよ。

第3 反論
(1)A文書について
 A文書に分類した各文書は、地方公共団体である横浜市や大和市などが作成し、神奈川県に提出したものである(以下「本件各地方公共団体求人票」などという)。法人概要欄の非開示部分は、横浜市、大和市の部署名の一部である。これらの情報を非開示とした理由について、被告は、条例5条1号に規定する個人識別情報に該当する旨述べる。
(被告準備書面1・23頁最終行から数えて4行目〜24頁12行目)
 しかしながら、この主張は失当である。以下理由を述べる。

 (あ) 条例5条1号イに該当する
 本件各地方公共団体求人票のうち横浜市が作成・保有しているものについて、原告は同市長宛に情報公開請求を行った。その結果、求人票に記載されたほぼすべての情報が開示された(甲13各頁右側の文書)。以上の事実から、本件各地方公共団体求人票の法人概要欄にかかる情報が、条例5条1号イの「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当することは明らかである。

 (い)条例5条1号ウに該当する
 条例5条1号ウは、個人識別情報であっても「公務員等の職務の遂行に関する情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る情報」に該当する場合は開示すべきである旨定めている。この規定の趣旨について、被告作成の解説書は次のとおり説明している。

 「公務員等の職務遂行の内容に係る情報」とは、公務員等が分掌する職務を遂行する場合におけるその情報(例えば、行政処分その他の公権力の行使に係る情報、職務としての会議への出席及び発言、その他の事実行為に関する情報等)をいい、公務員等の情報であっても、人事管理上保有する、職員等の健康や休暇、身分取扱いに関する情報等は、公務員等の職務遂行の内容に係る情報には含まれない。
(甲10、16頁本文11〜16行目)

 この解説を踏まえ、条例を自然に解釈すれば、地方公共団体作成による求人票に記載された部署名が条例5条ウの「公務員等の職務遂行の内容に係る情報」に該当することは明白である。

(2)B文書について
 B文書に分類した各文書は、会社法人など国や地方公共団体、独立行政法人以外の法人が作成し、神奈川県に提出したものである。法人概要欄の非開示部分(以下「本件各法人情報」などという)は、企業などの法人名と所在地などの基本情報である。これらを非開示とした理由について、被告は、条例5条2号に規定する「当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報」に該当し、かつ同号ただし書きにも該当しない旨述べる。
(被告準備書面〈1〉16〜17頁)
 しかしながらこの主張は失当である。以下理由を述べる。
 被告作成の条例解説書は、5条2号の趣旨についてこう説明している

本号該当性の考え方
 法人等又は事業を営む個人に関する情報で非公開とするものは、公開することにより当該法人等又は当該個人の「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」情報であり、これに該当する情報の典型的なものとしては、生産技術上又は販売上のノウハウに関する情報、信用上の正当な利益を害する情報がある。公開請求に係る情報が当該法人等又は当該個人の「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」情報に該当するかどうかは、当該情報の内容のみでなく、法人等又は事業を営む個人の性格、目的、事業活動における当該情報の位置付け等にも十分に留意しつつ、慎重に判断する必要がある。なお、この「害するおそれがある」かどうかの判断に当たっては、単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められる。
(甲10、20頁3〜14行目) 

 求人票記載の法人情報を公表することで、当該法人の▽人事管理に支障が生じる、▽外部の者から誤解が生じ社会的評価が下がる、▽同業他社との関係等で、労働者の待遇や業務体制に関し、競争上の地位その他正当な利益を害されるおそれがある――などという被告の説明は、いずれも漠然とした「おそれ」を述べているにすぎない。本件各法人情報が法的保護を必用とする具体的な事情は存在しない。
 また、原告が警視庁と埼玉県警に対して本件の求人票に相当する文書の開示を情報公開請求したところ、どちらにおいても法人名をすべて開示した(甲11、甲12)。開示することによって、当該法人などの利益が損なわれたとする事実はない。公務員退職者の再就職先を開示するのは社会通念である。
 以上のとおりであるから、本件各法人情報は条例5条2号に該当するとの被告の主張は失当である。

以上

 

 

作成者: MIYAKE.K

みやけかつひさ ジャーナリスト・スギナミジャーナル主宰者

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。