
開示請求1件に対して数百通もの大量の決定通知書が届く。46ある区部局から個別にばらばらと届く。決定通知の全容を確認する必要があるので通知書の全部を一覧にして示してほしいと市の情報公開担当部署に依頼するもあえなく拒否。同じ文書番号の通知書が多数あり、煩雑さに拍車をかける。
これは横浜市の情報公開制度をつかって筆者が現在直面している問題だ。長年にわたり多数の自治体や独法の情報公開制度を使ってきたが、横浜市のように「大量の通知書」が来るという経験ははじめてである。
「市民情報課の指示でやっているのだが、じつは職員も困惑している」
そんな市内部の声が筆者の耳にも届いている。匿名の職員の説明によれば、 通知書が大量に発行される仕組みはこうだ。
1 46ある区局ごとに開示・非開示・一部開示決定をだしている。
2 非開示部分と非開示理由ごとに対象文書をわけて、それぞれ決定を出している。
横浜市は人口370万人の大都市だから部局ごとに開示決定事務を分けることはやむを得ないのかもしれない。仮に、区・部局ごとに2通(開示・非開示)決定通知を出せば92通だ。少なくはない。しかしこれならまだ我慢できるだろう。どういう文書を特定し、それらに対してどう処分したのかかが通知から読み取ることが可能だ。
どうやら、1件の請求に対して300通〜400通もの決定通知を出すという大量発生の主因は「2」のやり方、つまり非開示の部分や理由ごとに通知をわけるという独特の方法にありそうだ。
非開示理由ごとに分けるのだから、文書がちがっても通知は別になる。文書ごとに決定通知を出しているのとかわらない。文書が多ければ大量の通知になるのは当然である。
こんなやり方で本当に正しいのか。筆者は疑問を禁じ得ない。決定通知を交付する目的は、開示請求に対して実施機関(市長や選管など)がどの文書を対象文書に特定したのか、どういう理由で非開示にしたのか、といったことを明確に伝えることにある。1件の請求に何百通もの決定通知を出せば、煩雑になって決定内容がうまくつたわらないのではないか。
通知文書が大量になれば、抜け落ちたり紛失したりするおそれも出てくるだろう。同じ文書番号のものが多数あるのだから、抜けがあっても発見しにくい。
改善の余地が多いにあるのではないか。とある職員に向けると、「そう思うのだが、上からの指示なので・・・」との嘆きともつかない言葉が返ってきた。
全国でも例のない”横浜方式”について、引き続き調べていきたい。読者各位の御意見をお待ちする。