横浜市を取材するなかで、かねて疑問に感じていることのひとつが情報公開事務の煩雑さだ。たとえば、昨年12月、「コンプライアンス指針に基づく利害関係者との会食の状況がわかる文書」という内容で開示請求を行った。予想していたのは、開示決定なり一部開示決定通知が1〜2通届き、そこに別紙として市が特定した文書の一覧表がついているという流れだ。
国の機関や地方自治体、独立行政法人はだいたいこの要領でやっている。
ところが横浜市のやり方は大きくちがうことを知った。46ある区や部局から五月雨式に通知が届く。それだけなら驚かないが、それぞれの部局が発行した通知書の数がべらぼうに多いのには辟易する。少ないところで数通、多いところで40〜50通を数えた。
全部で何通あるのか、筆者はたちまちわからなくなってしまった。何百通もの通知書の山。しかも同じ文書番号の通知書が多数ある。整理のしようがない。数える気力も失せる。
困った筆者は、横浜市で情報公開事務を担当している市民情報課に依頼した。
「発行した決定通知を一覧にして教えてほしい」
筆者とすれば事務的な連絡のつもりだった。だが小林且典課長の回答に驚いた。
「開示等の決定についても当課で一覧を作成し、請求者に対し提供を行うといったことも致しませんのでご承知おきください」
小林課長から4月25日付で送られたメールにはそうあった。結果として、筆者はいまだに、いったい何通の決定通知が出ているのかすら確認することができていないでいる。
筆者の常識では、あり得ない情報公開制度である。
そしてきょう、分厚い書類郵便が横浜市から届いた。情報公開で開示された文書かとおもって開けると、意外にも決定通知書の束だった。道路局に対する開示請求を1件行っていた。その決定通知だった。請求は1件なのに、市が作成した開示・一部開示決定通知書の数はじつに126枚にのぼった。しかもすべて文書番号は同じだ。
煩雑さにあらためてうんざりした。
決定通知は1通、あるいは全部開示1通+一部開示1通=2通で、それらに対象文書の一覧を別紙でつければ、わかりやすく、紙の消費も少ない通知文になる。なぜそうしないのか、首をひねりたくなる。
まさか、意図的に煩雑なやり方をしているのだろうか。
★1件の開示請求に対して横浜市長が発行した126通の開示決定・一部開示決定通知