横浜市立小学校で、担任教師(40歳代男性)が特定の児童に対して、
▽給食の量を極端に減らす、
▽配布物をわたさない、
▽行事で役割を与えない、
――といった行為を執拗に繰り返した”教師による児童虐待事件”をめぐり、市教委は今年3月25日、諮問機関による調査報告書と教職員らの懲戒処分を”発表”したが、その際、排他的任意団体「横浜市政記者会」の会員だけに事前連絡を行い、筆者のようなフリージャーナリストなど記者クラブ以外の記者を意図的に排除したことが明らかになった。
横浜市報道課・三堀浩平係長が筆者の電話取材に対して答えた。 厳しい質問をする記者を排除して都合のいい「報道」を誘導するという、非民主的で差別的な政策を横浜市がとっていることが浮き彫りになった。
問題の市教委記者会見は3月25日午後4時半から本庁舎9階の記者会見室で行われた模様だ。この日、おりしも筆者は、午後2時からの市長記者会見を取材するために横浜市庁舎を訪れていた。市長会見終了後(午後3時すぎ※※)も、情報公開の手続きなどがあったため庁舎内に滞在していた。
そして閉庁時間を少し過ぎて帰宅の途についた。報道課から連絡はなく、市教委の記者会見のことはつゆも知らなかった。
驚いたのは帰宅後ニュースを見てからだ。さきほどまでいた市役所で市教委が記者会見を開いたことを記者クラブメディアのニュースで知らされた。
会見内容は重要だった。市教委の諮問機関である学校保健審議会が事件の調査を行い、その答申書(報告書)がまとまったという内容だった。加害教諭を懲戒免職したことなども同時に発表した。
記者会見をすることが事前にわかっていればまちがいなく取材をして記事にした。
市長記者会見出席のために市役所内にいた非記者クラブ記者は筆者だけではない。ジャーナリストの寺澤有氏もいた※。同氏に対しても、筆者と同様に市教委の記者会見の連絡はされていない。したがって取材することができなかった。
市教委の記者会見に関する連絡業務を担ったのは先述の報道課だ。筆者はきょう(4月25日)、同課に電話取材をした。対応したのは三堀係長だ。
――3月25日の市教委レクチャー(記者会見)の連絡をフリーになぜしなかったのか。
三堀 緊急の案件だったので。
――市教委からレク開催の意向が報道課に伝えられたのはいつか。
三堀 市長会見の後です。
――市長会見が終わったのが4時前。市教委会見は4時半。メール連絡はできたのではないか。
三堀 従前どおり記者会だけに知らせた。
――フリーにメールで連絡するのは、技術的にはできたんじゃないか。
三堀 はい。
ーーそれでは「緊急」は理由にならないんじゃないか。フリーに対しては意図的に連絡しなかった、従前どおり連絡しなかった、そういうことにならないか。
三堀 そういうことになります。
「緊急」が口実にすぎず、フリーを意図的に排除したことを三堀係長はあっさりと認めた。私は引き続きこう問うた。
――なぜフリーには意図的に連絡しなかったのか、理由を教えてほししい。
三堀 追って連絡します。
本稿執筆現在(午後19時)回答はない。返事があり次第ご報告したい。
なお、横浜市小学校”教師による児童虐待事件”は文春オンラインの記事が詳しい。
https://bunshun.jp/articles/-/46572
https://bunshun.jp/articles/-/46573
また、事件に関連してフリー記者の行政取材を横浜市が妨害している問題についてはジャーナリストの寺澤有氏が報告している。
【新横浜市長の記者会見でフリーランスは質問できるのか(11)】
※・※※一部事実に誤りがありました。お詫びして訂正します。