岩手大学教育学部の菊地洋准教授(公法学)が発表したコロナウイルスに関する論文に、通信社が配信した記事と酷似する部分があることが発覚した。論文は17日までに「文の中で、不適切な引用をした部分があった」として発表媒体の論文集から削除された。
問題の論文は〈新型コロナ感染予防のための「自粛」と国民の権利―憲法学の視点からの検討―〉と題するもので、岩手大学の紀要(論文誌)である『岩手大学文化論叢』の2021年2月発行第10輯(しゅう)に発表、同大学のレポジトリ(岩手大学がインターネット上で公開している論文データベース)を通じて一般に公表された。
ところが、この論文の一部が、共同通信が同年2月5日付で加盟社の新聞用に配信した論説記事
「コロナ関連法改正/過料でも逆効果が心配だ」 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/629899
ときわめて類似していることがわかり、研究不正ではないかとの指摘が研究者らからなされていた。共同通信社からの問い合わせを受け、菊池准教授は謝罪し、論文が削除された模様だ。自主的に撤回したのか、あるいは論文誌が削除したのかは明らかになっていない。
筆者の取材に対して菊地准教授は17日、次のように回答した。
「お問い合わせの論文については、論文の中で、不適切な引用をした部分があったために、権利者の方からご指摘を受け、お話をさせていただき、謝罪をしたうえで、結果として、リポジトリから論文の掲載を削除したというのが理由となります。今後、このようなことが生じないように、細心の注意を払いながら、教育・研究活動をしてまいりたいと考えております」
研究不正の多発を憂慮する声がたえないが、特に教育系の大学に多いとの研究もある。
参考記事「研究不正シンポ」
三宅勝久
「岩手大学准教授論文に「不適切な引用」 掲載削除」への1件の返信
こんにちは。
この事件を【日本の研究者のネカト・クログレイ事件一覧】にリストさせていただきました。
白楽の研究者倫理 https://haklak.com/page_table_japan.html