(注・タイトルをわかりやすく変更しました)
横浜市が開催するあらゆる記者会見は「記者クラブ」が仕切ることとする――。
新聞テレビでつくる排他的任意団体「横浜市政記者会」(いわゆる記者クラブ)と横浜市との間でそんな「密約」が結ばれていたことが、情報公開請求で開示された横浜市の公文書によって発覚した。

「横浜市政策局報道担当」から「横浜市政記者会」に宛てて2021年8月25日付で作成された「市長定例会見・記者レクチャーの開催方法に関する確認事項」と題する文書には、次のとおり記載されている。
◇
横浜市長定例会見及びその他所管局が行う記者レクチャーの開催について、以下のとおり確認します。
【横浜市政記者会、ラジオ・テレビ記者会の加盟社以外の参加希望があった場合】
・出席及び質問の可否
横浜市及び横浜市政記者会が事前に了承した希望者について、出席及び質問を認める。
(略)
◇
横浜市は、筆者のようなフリー記者が市長定例記者会見を取材しようとすると、市政記者クラブの許可を得ることを要求する。地方公共団体の首長が説明責任を果たすための重要な場のひとつである記者会見に参加するのに、特定業者が「選別」するというのは納得がいかない。理由を尋ねると市はこう説明してきた。
「定例記者会見は記者会との共催だから」
つまり、定例記者会見は例外的に記者クラブとの共催なので、クラブを優先的に扱っているということらしい。これもにわかに納得しがたいが、少なくとも定例会見以外の記者会見については、取材の諾否を決めるのに記者クラブが介入する余地はないはずだと筆者は理解していた。
ところが、文書をみて筆者は驚いた。なんのことはない、記者クラブが記者会見を仕切るのは市長定例会見に限った話ではなかった。あらゆる記者会見や記者レクチャー(説明)について、だれが参加するかを記者クラブに選別させる旨、市が「確認」していたのだ。
無論、こうした事情は筆者らフリー記者にはいっさい知らされていない。
頻繁に中華料理やイタリア料理をともにするお気に入りの「記者」に特段の便宜をはかり、コントロールがきかずなにかと都合の悪いフリーや雑誌記者を排除する。そして、都合が悪いニュースが流れないように情報操作する。そんな下心がすけてみえる。
(追記)
山中竹春氏が横浜市長に就任したのは2021年8月30日、市報道担当が記者会との確認書を作成したのはその5日前にあたる8月25日。前市長のもとで作成された文書ということになるが、はたして山中氏は「確認書」の存在を知っていたのだろうか。気になるところである。(就任日を訂正しました)